2008年02月28日(木)

■ ぐっときた。ちょっと恋をしかかった。

阪急「淡路」の駅で電車待ちをしていると、目的の北千里行きはなかなか来ず、
京都河原町行きばかりがやって来る。気分的にはいつもそうだった。
やがて淡路のさして広くもないホームにはぼくのような者があふれ、
かったるいなー、京都でも行てもたろかーと相談がまとまる。
そんな学生時代をぼくは送っていた。

というわけで、有川浩「阪急電車」。
阪急今津線で垣間見られる人間模様。
8駅往復、全16幕。

往路、宝塚南口駅。
ひどく魅力的な女性が登場する。
ゴール目前に婚約者を同僚に奪われたあげく、
その結婚式に花嫁以上に目立つ白いドレスで彼女は乗り込む。
非常に強烈、印象的なエピソードなのだが、
物語の、そして彼女の真骨頂は、実はそこにはない。

復路、小林駅で再び彼女が登場する。
いじめに遭いながらも毅然とそれをはねつける少女を目撃して彼女は言う。
あなたみたいな子はきっとこれからも損をする。
けれど、見ている人も絶対いるから。
あなたのことをカッコいいと思う人もいっぱいいるから。私みたいに、と。

ぐっときた。ちょっと恋をしかかった。
美しい人! 気高い人! 大好きだっ!
うーん、小説の登場人物相手になに熱を上げてるんだ、ワタシ。
などといいつつ、彼女が登場する章だけきっちり2度読みました。

いや、他の章もみな滋味あってよろしいです。
というか、こういう人間模様の連作、夢想したこともあっただけに、
ちょっと悔しい気もします。くっそー、やられたー。
本当はものすごく悔しい。


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