| 2010年09月12日(日) |
荒井 有里『出したらしまえない人へ』★★☆☆☆ |
 荒井 有里『出したらしまえない人へ』
こころに残ったところ。
「子どもを怒ってばかりいるお母さんの家が片づいておらず、そんなに怒らないお母さんの家はきれいに片づいているという事実。そこには精神的なゆとりの差があるのだと思います。」(p75)
「片づいている家のお母さんは子どものいたずら、反抗期を成長過程のひとつとして受けとめるゆとりとともに、居心地のいい家での時間を楽しむゆとりも持ち合わせているのでしょう。逆に子どもを怒ってばかりいるヒステリックなお母さんは、居心地の悪い家で常にイライラと過ごしているのではないでしょうか。」(p76)
なんか、悲しくなってしまいました。 そこまでばっさり、言われてしまうと。
「まずは、怒りたくなったらそのエネルギーを床に落ちているものをひとつ片づけることに使って、怒鳴り声を飲み込みましょう。」(p76)
時には思いっきり子どもと散らかして遊んじゃって、夜寝かしてから片づけてスッキリ!の落差を楽しむくらいの余裕を、と提案されてますが、そのまま寝ちゃうくらい疲れてると思うのです。寝かしつけてからささっと片づけられる程度なら困ってないと思うのです。
なんだかなー、でした。
「節約に振り回される暮らしは、ゆとりというものを失わせてしまいます。」(p78)
居心地と節約を天秤にかけた時に、私も居心地を優先する方が結果的に節約になる、と今は思います。節約は戦術であって戦略でないから、根本的な解決にはならない。 雨漏りしてたらバケツの置き方や数を工夫するのではなく、穴をふさぐことを考えなければ解決しない。そういうこと。
「身なりを飾り立てるよりも、部屋の居心地のよさを追求するほうが、結果的には外見の美しさ、内面の美しさ、両方を磨くことにつながると思います。」(p90)
だから、ここにも共感。
収納について。 「収納とはしまうことだと思い込んでいませんか。 (略) ものはしまうためではなく、使うためにある。これは当然のこと。だから、使いやすくしてあれば、いっそしまわなくてもいいのではないかと思うのです。よくいわれる”見せる収納”ですね。」(p140)
使いやすさは人それぞれだから、これも正解。 がんばりすぎて、殺風景で生活感がなさすぎて、寛げない空間にしてしまうことのないよう、楽しさや居心地のよさを大事にした家、部屋づくりがいいのでは、と。
第三章「まわりの人をよく見てください。整理、分類にうるさい人に仕事ができる人がいますか」の中に、机を散らかしたままの人、机の上に何もおかない人が出てきます。どちらも自分にあった収納のルールを実行していて仕事もこなせている、と。
「あなたも自分に合った、あなただけの収納ルールを見つければいいのです。それが見栄えのよくない方法であったとしても、他人から眉をひそめられようと、仕事がやりやすくなり、その結果、いい仕事ができるようになれば、万事OKではありませんか。」(p107)
洗濯物の収納もしかり。 タンスにしまう必要もないし、掛けたままでもいいでしょう、と。
「たたまないことはだらしないわけではなく、むしろ賢い収納法、効率的な家事術だと、発想を転換してください。」(p159)
「『なんてだらしない!』と思いますか。ところが、これがすごく ラク。 食器を新しく使うたびに機械から必要なものを取り出し、使い終わったら流しに置いておき、使用済み食器がたまったらまたセットしてスイッチオン。これを繰り返していけばいいのです。つまり『洗ったまんま』収納ですね。」(p156)
できてない自分がいうのはほんとに情けないけど、『だらしない』と思います。 少なくとも、『美しくない』。 これでいいや、と思う自分にはなりたくないと思いました。 (やってる方がいるのは平気ですし、いいと思ったらされるといいと思います。)
「しまえない人は、同じものを3つ持てばいい」(p160)にも賛成しかねます。 指定席に戻せない人は、あちこちに置いておけばどこかにあって見つけられるから、というのですが、そんな基準でいろんなモノを持ったら、あふれます。または埋もれます。そしたらいくつあっても見つけられません。見つけられても時間がかかってしまう。
「探し物をしている間は本当にムダ。時間がもったいないとつくづく感じます。 そこで私は割りきりました。1つしかないから、なかなか見つからないのです。」(p160)
たくさん用意することは、探し物の時間を増やすしお金ももったいないと思います。 ただ、使う場所に使うモノを、という意味では使う場所毎にはさみやテープ、ペンがあるのはアリだと思いますが、スパイスも複数、というのも賞味期限を考えるとちょっと真似する気にはなれません。
「リビングだけスッキリさせれば快適に過ごせる」(p164)
これも、半分賛成、半分反対。
「寝室は夜寝るだけの場所なのですから、脱いだ服が出しっぱなしになっていても、ドレッサーに化粧品がごちゃごちゃに置かれていても、かまわないではないですか。」(p166)
いやいやいやいや、かまわない自分になりたくないです。 「それで片づけに追われて、イライラして家族にやつあたりするよりは」「とりあえずは」という但し書きがつくなら、納得ですが、それでよしとしてしまうのはどうかと。
「一カ所に押し込んじゃって何が悪い。ぐちゃぐちゃの部屋あれば、とりあえず片づく」(p169)
出したらしまえない人、にはこの方法しかないのかなぁ。
これらの方法を取り入れれば、収納の悩みからはかなり解放されるのでは、と著者。 ハード、ソフト両面を意識して書いたので、片づくだけではなくてインテリア性もアップするのでは、と。 んなアホな。
と、出したらしまえない人な私でもちょっと勘弁を、というアイデア満載でしたが、共感できたところ。
「私がインテリアに求めたいのは、いちばんに心地よさ。自分や家族が見て、使って、過ごして、心地よく感じることが第一です。」(p184)
著者の伝えたいメッセージはなんとなくは伝わってきましたが、やっぱり要らないモノを手放すこと、から。そこの言及がやや弱かったのが惜しかったなと思いました。
でも、こういう考え方もありか!という意味で読めてよかったです。 ありがとうございました。
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