| 2006年12月20日(水) |
アレックス シアラー『青空のむこう』★★★☆☆ |
 『青空のむこう』 アレックス シアラー Alex Shearer 金原 瑞人 求龍堂
姉とつまらないケンカをして、捨て台詞を残して自転車ででかけた少年ハリー。
気づいたら、死者の国への受付に並んでいました。
どうやらトラックにはねられてしまったらしい。
まだやりたいことがあったのに。あんなこと本気で言ったんじゃないのに。
ハリーは、心残りがあると行けない「彼方の青い世界」へ向かう前に、同じように母親の姿を求めて150年さまよう少年アーサーとともに、下界へ降りていきます。 学校へ行き、級友に会い、話しかけ、気づいてもらえず、「敵」の追悼文を読んでショックを受ける。 町で死者に会う。出会えるはずのない再会を求めて動けない死者。 ひんやりした映画館。 そして家へ。
必ず直面する「死」に対して、ハリーも、自分自身も何も準備をしていないことに気づかされる。 あまりにも無防備。
死んでから気づくこと。 死んでからでは遅いこと。
ハリーは、やっとの思いで姉への思いを伝え、彼女の良心の呵責をラクにしてやれたけれど、彼女や両親の哀しみが癒えるわけではないのです。
死んでも、流れていく時間。 悲しみに沈む大切な人たち。 一方で忘れられていく自分。
自分が死後も残せるものがあるとしたら、それは何だろうか。 残すとしたら、何を。
そして、それを残せるのは、生きている「今」。 今から選ぶすべてのことが、自分が死後に残すものとなる。 考えなしに選んでちゃいけない気がする。
そんなことを考えました。
森絵都さんの『カラフル』と似てるといえば似てます。 どちらも、生きてることを、生きているうちに楽しもう、生きている時間は、楽しめる時間は、実はとても短い、というメッセージを伝えてくれます。
心に残ったところ。
「もう一度生きたい。ぼくは強く思った。言葉では言い表せないぐらい強く。生きたい。生きて、みんなの仲間に入りたい。いままでは当たり前だと思っていた普通のことがしたい。サッカーボールをけったり、ポテトリップスを一袋食べたり、そういうほんとに小さなことがしたくてたまらない。」(p178-179)
『青空のむこう』
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