
|
 |
| 2012年10月04日(木) ■ |
 |
| S系男子 |
 |
別冊マーガレット連載中の「オオカミ少女と黒王子」は面白いと思います。なんでかな。
見栄っ張りの主人公篠原エリカは、架空の彼氏を友人に自慢するため、 イケメンの佐田恭也に彼氏のフリを頼み込む。 しかし佐田の本性はとんでもないSで、フリをしてもらう代わりに エリカは彼の下僕に成り下がるのだが…
作者の八田鮎子さんは元々絵は上手かった。 別マっていうより少年漫画っぽい、明快な絵柄。 それが仇になったのだろうか。 今までパッとしなかった。 キュートで瑞々しいという別マ基準の魅力に乏しく、 上手くても目が上滑ってしまうというのだろうか。 物語も正直いって、心に止まるものがあまりなかった。
ところが今回の作品では複数巻の長編となり、 巻頭も表紙も勝ち取ることができた。 めでたい、その人気と魅力はどこから来るのだろうか。
ヤツにはとんでもないギャップが!という構造は カレカノ(津田雅美さん『彼氏彼女の事情』白泉社)に似ている。 主人公の女の子はある程度ヘタレていなければいけない。 しかし、カレカノでは主人公雪野・相手役有馬ともに 成績優秀な高レベル人種だということは変わらなかった。
「オオカミ〜」は、いい意味で普通なのだ。
ちなみに私は、少女マンガのS系男子はおおむね嫌いだ。 他の安っぽい「S系男子」漫画って、 男はナルシーっぽくて理不尽で強引で自分勝手で 主人公にエロいことをしてきたりで、 どこがいいのか分からない顔だけ男だったりする。 (私の読む雑誌が偏ってるのでしょうか) が、佐田はそうではない。
二話冒頭、相合傘で 「おい。濡れてんだろ。もっとこっちかたむけろ」 「あたしのほうもぎりぎりッパなんだってバ」 せこー。こんなやりとりが、なんとも微笑ましい。
S系といっても、威圧感より無関心な冷酷さを押し出して、 佐田がとても丁寧に描かれている。 デモデモなエリカをいじめたくなるのも、 ほっとけないのも、共感できてしまう。 本当にいい意味で普通だ。 フェロモンくさくない、身近な男の子。
これまでネックだった作者の「上手いけど普通」」な特色が、 バランスよく発揮されたということなのかな。
文章が下手なのでレビューなんておこがましいですが、 ちびちびと漫画スキーな記事も書いていきたいです。
|
|