たま日記
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ば。
今日の9時か?「ニューヨークの恋人」やりますね。 バタやんに「ヒュー・ジャックマンが格好いいから!観ろっ!」といって、DVDを観せられたヤツだねー。 同じような理由で「パイレーツ・オブ・カリビアン」を観に行った覚えがある。 ん、まぁ、ヒューが格好良いかどうかの論議は置いといて、演技は上手いと思うよ。うん。
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プリシラやセーラが癒しの呪文を唱え傷は塞がったが、すでにケントから命の光は消え失せていた。 致命的な傷を受けた場合、癒しの奇跡を使って怪我を塞いでも息を引き取る怪我人は少なくない。 あれだけ激しく動いたのだから、内臓は当然中で千切れていたし、心臓側の左腕を切断された為に体の中には生きるのに必要な血が殆ど残されていなかった。 神聖魔法といえども万能ではない。死人を生き返らせる事はできないし、死すべき定めにある者を引き止める事もできない。奇跡は誰にでも起こるものではないのだ。 それでも、あれだけ動けたのだから賞賛に値する。 死ねば意味の無いことだが。 「立てっ!」 皆がケントの死に慄然とし、その事実に衝撃を受け、涙にくれるその姿に悲しみを覚える中、ヘクトルはすでにその体から命の火を消したケントを抱きしめ涙を流すリンの腕を乱暴に取り、無理やり身体を起こさせた。 それでもケントから身体を、顔を離そうとしないリンの胸倉を掴むと、お互いに鼻先が触れるぐらい引き寄せ噛み付かんばかりの勢いで怒鳴った。 「死んだ人間はもう生き返りゃしねぇ!よく分かってるだろう!それなのに、お前はいつまでも泣いてるつもりだ!?そうやって泣き続けてりゃ、死人が生き返るとでも言うのか!?ふざけんな!!死んだ奴はただの肉の塊りだ!そうだろうが!」 悲しみと絶望に顔を歪ませ、罵倒にすらなにも言い返せず、ただリンは涙に濡れた瞳を逸らそうとするが、ヘクトルは許さない。 「立て!立って自分の足で歩け!てめぇは何の為にここまで来たんだっ!それすら忘れたのかっ!」 喉元を締め上げるほどの勢いで掴み、太い指で顎先を鷲掴むと、逸らそうとするリンの顔を自分に無理矢理向けさせる。その容赦の無い行為に、誰もがこのままヘクトルがリンを殺すのではないかと恐怖するが、一度気性を荒げた彼を止める事は容易ではない事も知っている。誰も止められないと思う中、エリウッドがヘクトルの肩を掴み、怒りとそれを上回る悲しみに満ちた藍色の瞳を静かに見返す。 大きく舌打ちをし、リンから手を離すとヘクトルはそのままその場を離れた。もちろん、その後姿を見送るエリウッドの目に、非難の色は少しも見られない。 リンの悲しみをヘクトルが分からないはずがないと知っているし、大事な人をまた守れなかった己の弱さに、立ち上がれなくなる気持ちも痛いほど分かっているからだ。 悲しむ事を許さない訳ではないし、泣く事を否定するつもりも彼には無い。 けれど、どれだけの悲しみを背負うとも、どれだけの苦しみ知ろうとも、どれだけの命を奪い、どれだけの命を奪われようとも、それでも、自分達は立ち上がらなければならない。ヘクトルは、今、リンがそれから目を背ける事を許さないのだ。 手を離された拍子で、ぺたんと地面に座り込んだリンの前で膝を折り、エリウッドはのろのろと顔を向ける彼女と視線を合わせる。意志の強い緑の瞳は、今は涙の幕に覆われ激しく揺れていた。 「リンディス…。ケントが、彼がどうして君に生きて欲しいと言ったのか。ヘクトルが、立ち上がれと君に言ったのか。その意味を考えるんだ」 その言葉に緑の瞳から透明な雫が流れ落ち、エリウッドは親指で流れる雫を払う。 「それでも、その意味が分からないのなら…」 エリウッドは視線を逸らさず、そっとマーニ・カティの柄に触れる。 「君がこの剣を手にする必要はもうない」 「私は…私は…また守れなかった…誰も、誰も守れない…」 嫌だというように頭を振るたびに揺れる長い髪はケントを抱きしめた時に付いたのか、べったりと血が付いていて、それは既に酸化し黒ずみ、彼女の髪を一際黒く見せていた。 「君が立ち上がらないのなら、彼の死は無駄に終わる。ネルガルを止めなければ、どのみち世界は終わるんだ。だから、僕は決して歩みを止めない。彼らの犠牲があって今の僕らがいる。決して忘れてはいけないんだ、リンディス。決して」 それだけを言うとエリウッドは立ち上がり、リンに向って手を差し伸べる。 「痛みを乗り越える強さを、僕は彼女から貰った…。リンディス。君は違うのかい?」 その言葉にリンは弾かれたようにエリウッドを見返した。 手を差し伸べるエリウッドのその姿がケントと重なり、リンは大きく目を見開いた。 「あ…」 力なく下ろされていたはずの手が、ゆっくりと持ち上がる。リンの手は虚空に触れているだけなのに、エリウッドの目には、まるで誰かとの優しい抱擁を交わしているように見えていた。 『生きてください』 自分に向ってもう一度繰り返えされたケントの言葉に、リンは答えるように小さく、だが、何度も頷いた。 そう言った。ケントは私にそう言った。 それが彼の願いなら。それがあの人の望みなら。 私は立ち上がれる。あなたの差し出す手を取って、私はもう一度立ち上がれる。 リンはそっとエリウッドの手を取った。その瞳に燃える程の意思の光を感じたエリウッドは、リンの手を強く握り返し、立ち上がらせた。 「行こう」 その言葉にリンは力強く頷く。 「ありがとう、エリウッド」 エリウッドは彼らしい優しい微笑を浮かべると、リンの肩に手を置いた。 「ヘクトルが痺れを切らして単身乗り込む前にね」 「そうなったら大変」 そうして、二人で小さく笑いあうと同じように前を向いた。 リンが見せた笑みは酷く綻びを感じさせるものであったが、立ち上がり、前を向いた以上もう彼女が振り返る事はないとエリウッドは信じていた。
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続いたよ!死にネタ第二弾! まるで「エリリン」のようですが、間違う事なく「ケンリン」ですんで!ケンリンなんだってば!信じて!(泣) ロード三人衆の友情物語も、個人的には好きなんでv
死んだ人間を前に笑う事を非常識と取るか、吹っ切れたとして納得するか。 生きる事は死ぬ事より難しいといいますが、私としてはどっちもどっちな気がします。もちろん、死んだ事ないんで、死ぬ事は分かりませんが。だから、知らない事を引き合いに出せないんですよね。 失った事をどう受け止めて生きていくか。 喪失感を募らせるか、思い出に変えていくかはその人次第。多分。
あと一回続くみたいだね。
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