与太郎文庫
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2003年03月13日(木)  軽視(続)〜 20030219 よりつづく 〜

 
http://d.hatena.ne.jp/adlib/20030313
 
 大統領選挙の直前に、アラブ諸国の政治家の名を問われたブッシュ・
ジュニアは、誰ひとり知らないことがバレてしまった(このときまだ、
ビン・ラディンの名前も知らなかったのではないか)。
 薄氷を踏むような選挙戦で選ばれた大統領は、テロにも関心がなく、
人類史上空前の事態にあうと、西部劇のような身ぶりで反応した。
(われらがコイズミも、調子をあわせて、はしゃいでしまった)
 テロの直後、すぐに手をあげたのはブレアだった。教育や失業問題に
眼のさめるような成果をあげつつある内政のチャンピオンである。何を
もくろんでか、米国の兄貴分として声高に名乗りをあげた。
 二番手はプーチンだった。氷のように魅力的な微笑に、いかなる計算
を秘めていたのか。とりあえず賛成しておいて、イザとなれば開戦直前
に手を引っこめるかも知れない。
 もしも列強の指導者が、本気で殴りあったら、かならず勝ちのこるに
ちがいない。なにしろ空手有段者で、戦闘機の操縦もできる。破産した
大国の指導者として、うってつけのキャラクターだが、冗談は通じない。
 商店街の会長みたいなシラクは、いまのところ慎重論で点数をかせい
でいるが、政治的理念とは無縁である。かたや、すっかり影をひそめて
しまったドイツのラウ大統領の哲学的演説など、だれも耳を貸さない。
(趣味は、芸術・文学・切手収集だという)
 
 これからは政治家が要職に就いた時には、必要な知識を有しているか
どうか、記者会見で“面接試験”すべきではないか。英語ができるとか、
官僚時代のキャリアがある、というような評価ではなく、専門的知識を
テストすべきである。
 すなわち、これまでの記者会見が、ほとんど儀礼的で無意味な質問に
終始していたのは、むしろジャーナリズムの側に責任があったのだ。
 また「仮定の質問には答えられない」とか、ミサイルが着弾してから
数時間たっているのに「情報を確認中です」などと答えるような防衛庁
長官なども、その時点でチェックすべきだったのだ。
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 このたびの刑務所内暴行事件の発覚は、法務大臣はじめ、いまもなお
事態を軽視しているようにみえる。
 死に至ったことが問題なのではない。事件の背景が不穏なのである。
法的矯正施設が無法地帯になっていることが、軽視できないのである。

 >>

 [刑務所] 死亡受刑者の死因再検討など法務省が対策
 2003 年 2月 20日[毎日新聞]
 法務省は20日、名古屋刑務所の受刑者暴行事件を受け、当面の対策
を決めた。
(1)全刑務所・拘置所の過去3年間の死亡事案の洗い直し
(2)受刑者が法務大臣に直接異議を申し立てる「情願書」を森山真弓
法相が直接閲読するよう取り扱いを変更(3)民間人から成る懇談会を
3月中に発足、抜本策を検討する――などが柱になっている。
 受刑者が死亡した事案については、監獄法の規定に基づき全国の地検
で保管している3年分の書類を本省の刑事局に集め、死因に不審点がな
いか再検討。必要に応じて各地検に調査を命じる。
 情願は、受刑者が処遇の不満などを直接、法相に直訴できる制度。年
間約3000件に及ぶため本省の矯正局職員が開封し、法相には特に重
要なものだけ報告することになっている。しかし、今回の一連の事件が
発覚するまで報告が上げられたケースはなかった。森山法相の意向もあ
り、21日からは法相が直接開封して中身をチェックするという。
 懇談会は、法相の諮問機関として設置する方針。警察不祥事の際の警
察刷新会議のような形で、長期的な刑務所運営のあり方を検討する。
【伊藤正志】


 受刑者死亡、過去3年調査
 2003 年 2月 20日 Yomiuri On-Line
 法務省は20日、名古屋刑務所の一連の受刑者死傷事件を重く見て、
全国の刑務所や拘置所計193か所について、過去3年間の受刑者死亡
事例をすべて再調査することを決めた。不審な事実が分かれば、検察庁
が捜査に着手する。
 監獄法は、刑務所や拘置所で受刑者らが死亡した場合、検察に通報す
ることを義務づけている。再調査にあたっては、法務省刑事局が各地方
検察庁に保存されている500人を超える死亡者に関する資料を集め、
死因や死亡時の状況について詳細に点検する。
 法務省はすでに、府中刑務所(東京都府中市)と横須賀刑務所(神奈
川県横須賀市)で、保護房に収容された男性受刑者が急死した3件につ
いて再調査する方針を固めていた。
 一方、受刑者が刑務所内の人権侵害などを法相あてに手紙で訴える
「情願」について、21日から当分の間、森山法相本人が目を通すこと
を決めた。法相は昨年11月の国会答弁で、「最近初めて見たような気
がする」と答えていた。情願は年間約3000通寄せられるという。

 
 受刑者放水事件、当時の名古屋刑務所長が突然入院
 2003 年 2月 25日 Yomiuri On-Line
 広島矯正管区(広島市中区)は24日、久保勝彦管区長(59)が2
1日に入院したと発表した。「突然の傷病」で、約2か月間入院すると
いう。理由について、同管区は「個人のプライバシーに関することであ
り、答えられない」としている。
 久保管区長は名古屋刑務所の副看守長が2001年12月、男性受刑
者(当時43歳)に消防用ホースで大量放水し、死亡させた事件があっ
た当時の所長。


 [刑務所暴行] 刑務官馬乗り うめく受刑者 監視ビデオに記録
 2003 年 3月 2日 [毎日新聞03:01]
 名古屋刑務所で昨年9月に男性受刑者(30)が重傷を負った事件で、
刑務官が馬乗りになり革手錠で受刑者の腹部を締め付けたり、放置され
た受刑者が身をよじって苦しむ模様を記録した監視ビデオの詳細が1日、
複数の関係者の証言で明らかになった。一連の死傷事件で暴行場面がビ
デオに保存されていたのはこれだけで、11日に名古屋地裁で開かれる
副看守長の前田明彦被告(41)らの初公判で、検察側はビデオテープ
を重要な物証として証拠請求するとみられる。【刑務官暴行事件取材班】
 監視ビデオは保護房の天井に設置され、同時録音も行う。テープはカ
ラーの2時間用で、同刑務所が名古屋地検特捜部に任意提出した。受刑
者は昨年9月25日午前8時15分ごろ、前田被告ら刑務官約10人に
制圧されて保護房に収容されたが、ビデオは革手錠装着の途中から記録
していた。
 ビデオではまず、コンクリートの床にうつぶせにされた受刑者の脇に
立つ刑務官が、受刑者の腹部に巻いた革手錠の腰ベルトを締め上げる場
面が映された。刑務官らが受刑者に馬乗りになったり、手足を押さえ、
1人の刑務官がバックル部分のビスを締め、革手錠を固定。装着は10
分足らずで終わったが、その最後に受刑者の上げるうめき声が録音され
ていた。
 その後約1時間、保護房に1人で放置された受刑者は身をよじり続け、
力尽きて吐く場面もあった。同9時40分ごろ、刑務官3人が保護房に
入り、革手錠のベルトを強く引き革手錠を外した。
 この後、刑務官らは一度保護房を退出。だが監視用の窓からのぞくな
どして受刑者の異変に気付き、ぐったりした受刑者を車椅子で運び出す
ところで、ビデオは終わる。受刑者はその後、外部の病院で手術を受け
たが、外傷性腸間膜損傷などで重傷と診断された。


 保護房の死亡例提出要求決める…与野党
 2003 年 3月 6日 Yomiuri On-Line
 衆院法務委員会(山本有二委員長)は5日、理事懇談会を開き、法務
省に対し、保護房内での過去10年分の死亡事例を7日までに提出する
よう求めることを決めた。同時に、〈1〉名古屋刑務所事件の関係者に
対する処分内容と理由〈2〉判明している5件の保護房収容中の死亡事
例に関するカルテや死亡診断書――など計5項目15種類に及ぶ刑務所
関連の資料を提出するよう法務省に要求。野党4党の要求に対して、与
党側も賛同しており、「異例の与野党一致の要求」(衆院)となった。
 民主党の河村たかし筆頭理事は記者団に対して、「資料提出がないう
ちは法案審議にも応じられない」と述べた。与党側は、刑務所問題の究
明と並行して法案審議にも応じるよう、野党側に働きかける考えだ。


 森山法相、昨秋まで受刑者直訴の「情願制度」知らず
 2003 年 3月 7日 Yomiuri On-Line
 政府は7日に閣議決定した政府答弁書で、受刑者が刑務所内の人権侵
害などを法相に手紙で直訴する「情願」制度について、森山法相が昨年
11月中旬まで、制度の存在を知らず、情願を却下する裁決書に法相の
公印が使われていることも認識していなかったことを明らかにした。法
務省事務当局が法相に情願制度の説明をしていなかったことも認めた。
民主党の長妻昭衆院議員の質問主意書に回答した。
 法務省によると、情願は内部規定である「文書決裁規定」に基づき、
内容が「特に重要」と思われるもの以外は矯正局長が法相名で決裁して
いた。しかし、実際には「特に重要」などと、内容を選別するための基
準は存在せず、数十年前からほとんどすべてを矯正局長が決裁していた。
 名古屋刑務所の受刑者死傷事件を受けて、情願制度の運用が批判を浴
びたことから、今はすべて法相が直接目を通す運用に改めている。


 革手錠暴行死、刑務官5人が無罪主張
 2003 年 3月 11日 Yomiuri On-Line
 名古屋刑務所で昨年5月と9月に収容中の受刑者2人が革手錠による
暴行を受け死傷した事件で、特別公務員暴行陵虐致死、同致傷罪に問わ
れた副看守長前田明彦被告(41)ら刑務官6人に対する初公判が11
日、名古屋地裁(石山容示裁判長)で開かれた。罪状認否で、前田被告
は「職務を果たすための行為で偶然起きた事故」と、起訴事実を否認、
無罪を主張した。ほかの4被告も「懲らしめ目的で革手錠を使ったこと
は1度もない」と争う姿勢を示した。副看守長岡本弘昌被告(47)は
「限度を超えていた」と起訴事実を大筋で認めた。(略)


 [刑務所] 名古屋など4カ所で不審死多数 法務省を追及へ
 2003 年 3月 13日 [毎日新聞]
 名古屋刑務所の受刑者死亡事件をきっかけに衆院法務委員会(山本有
二委員長)が名古屋、府中、大阪、横須賀の4刑務所について過去10
年分の受刑者の死亡帳を法務省に提出させたところ、不審死のケースが
相当数あることが13日、分かった。野党委員は「医療ミスなども推察
される」として、カルテなど詳しい資料の提出を求める。
 また、同委員会は、全国すべての刑務所の過去10年に死亡した受刑
者約1600人の死亡帳を提出するよう同省に求めた。
 死亡帳には、病死も含め刑務所内で死亡した受刑者のデータが記され
る。自殺や変死の場合は検視者や立会者の氏名、検視結果も記載される。
 野党委員によると、同省が同日提出した4刑務所の計260件の死亡
帳を調べたところ、(1)府中刑務所で興奮した受刑者に対し筋肉注射
を打ったところ、自発呼吸を停止し、心停止して死亡(2)腰痛治療の
ために医務室に行ってその後急死――など医療ミスを疑わせるようなケ
ースが複数含まれていた。このため、野党側は、刑務官の暴力だけでな
く、適切な医療を受けさせずに死んだケースもあるとみて、不自然死に
ついては新たに資料請求することを決めた。
 また、名古屋刑務所の死者120人は、府中(93人)や大阪(46
人)より多く、この点についてもよく調べる。
 同省はこれまで死亡帳があることを明らかにしてこなかったが、野党
議員の指摘で存在を認めた。この点について中井憲治矯正局長は「大臣
官房に対して死亡帳があることを報告していなかった」と述べ、当初の
対応を謝罪した。 【伊藤正志】


 刑務所の変死、過去10年で100件=衆院法務委理事ら調査へ
 2003 年 3月 13日 時事通信
 名古屋刑務所の刑務官による受刑者への集団暴行事件を受け、衆院法
務委員会の河村たかし理事(民主)ら野党理事5人は13日、東京都内
で記者会見し、名古屋など4刑務所の過去10年間の死亡記録を公表。
このうち変死事案について、死亡の詳細な経緯や、刑務官による暴行の
有無を調査する考えを明らかにした。死亡記録によると、名古屋、大阪、
府中、横須賀の4刑務所で、過去10年に計260人の受刑者が死亡。
このうち、名古屋刑務所の事件を含め変死とされたケースが100件あ
った。

 
 名古屋など4刑務所、10年で「変死」100人
 2003 年 3月 13日 Yomiuri On-Line
 名古屋、府中、大阪、横須賀の4刑務所で、過去10年間に死亡した
260人の受刑者のうち、病死、老衰ではない「変死」が100人にも
上ることが13日、法務省が衆院法務委員会に提出した資料で明らかに
なった。事件の疑いがあるとして、司法解剖が行われた事例が8件あっ
たことも分かった。
 野党委員によると、「変死」の中には「1997年に府中刑務所で、
興奮状態の受刑者に筋肉注射をしたところ死亡した」ケースもあったと
いう。
 資料は、死亡した受刑者の氏名や死亡状況などを記した「死亡帳」と
呼ばれる文書。各刑務所に10年分保存されている。氏名、生年月日、
死亡日時などは黒塗りにして提出された。死者は名古屋が120人で最
も多く、府中93人、大阪46人、横須賀1人。司法解剖は名古屋4件、
府中3件、横須賀1件。革手錠などが原因となった名古屋刑務所での事
件2件も含まれている。
 野党委員は「急性心不全などの突然死が多い。『変死』の場合、司法
検視などが行われるが、大阪刑務所では99年の途中から検視の記述が
出てこなくなるなど、不自然な点も多い」としている。不審な事例に関
しては、カルテなど詳しい資料を要求する方針だ。
 13日の衆院法務委員会理事懇談会では、与野党が法務省に、全刑務
所の過去10年分の死亡帳(約1600人分)を提出するよう要求し、
法務省も了承した。


 府中刑務所で死亡受刑者の記録を紛失、刑事告発も検討
 2003 年 3月 20日 Yomiuri On-Line
 府中刑務所で99年8月に保護房内で死亡した40代の男性受刑者に
関する公文書「視察表」が紛失していたことが、20日までの法務省の
調べでわかった。死亡までの受刑者の様子が書かれたとみられ、同省は
「故意に抜き取った可能性も否定できない」として、東京地検への刑事
告発の検討に入った。
 この男性受刑者は、大声を出したとして保護房に収容された翌日に急
性心不全で突然死しており、法務省矯正局などが先月に再調査した結果、
視察表の紛失が判明した。刑務官が観察した受刑者の様子を書き込むも
ので、保存期間は10年間。
 20日の参院法務委員会で、福島瑞穂氏(社民)は、「事件を隠蔽し
たのでは」と追及した。法務省の大林宏官房長は「犯罪の疑いがあれば
刑事告発という手段をとる」と述べた。


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