与太郎文庫
DiaryINDEX|past|will
| 2000年01月03日(月) |
われらがボピー 〜 詩人・友人・俗人 〜 |
http://d.hatena.ne.jp/adlib/20000103 http://www.enpitu.ne.jp/usr8/bin/list?id=87518&pg=000000 http://www.enpitu.ne.jp/tool/edit.html from Our Picture;Peter Camenzind http://www.amazon.com/exec/obidos/ASIN/0312422636/bookrags A Novel (Paperback) by Hermann Hesse, Michael Roloff 1.中学時代の蔵書(内村くんの感想文) …… この大作はことによったら、もう一度書き直し、書きつづけ、完 成する様な時が恵まれるかも知れない。その時こそ私の青春の憧憬が充 される時なのであり、私は詩人になれた、と云うことになるであろう。 それは私にとっては村会議員や、石の堤防と同じくらい、或いはなお それ以上の価値のあるものだったかも知れない。しかしながら、それは あのほっそりした美しいレージ・ギルターナーから可哀想なポッピーに 至るまで、愛すべきあらゆる人々の像をひっくるめた、──あの私の生 涯の過去とはなったが、しかし不滅であるところのもの──に較べたら、 元より及ばぬものであったであろうが。 adlib/19541006 図書室便り 〜 読後感想文コンクール 〜 ── ヘッセ/芳賀 檀・訳《郷愁・春の嵐 1953‥‥ 新潮社》現代世界文学全集�� http://booklog.jp/users/awalibrary/archives/1/B000JB4J2K 2.高校時代の回想(井上くんの記憶) ── 《郷愁》に描かれたボピーとおなじ病気の井上君は、中学時代 の宗教部でどんなにか親しかったのに、半年もつづけた早朝祈祷会や、 ときには若王子山頂の校祖墓前に彼も挑戦し、街の安食堂で笑いあった 仲間だったのに、高校に進むと、文芸部・ホザナコーラス・器楽部など 彼の不得手なグループばかりに加わって、たちまち疎遠になりました。 http://d.hatena.ne.jp/adlib/20001009 ポール先生、さようなら 〜 Reunion 〜 3.中年時代の蔵書(次男の担任教諭に紹介) ── 引き出しには、私の大きな創作のはじめの部分がはいっている。 「わが生涯の作品」ということができよう。それはあまりおおげさに 聞こえるから、そうは言うまい。というのは、この作品の進行と完成は おぼつかないことを告白しないわけにいかないからである。新しく始め、 続け、完成する時が、もう一度来るかもしれない。そうなったら、私の 青春のあこがれは正しかったわけで、私はやはり詩人だったのである。 それは私にとって村会議員や石の堤防と同じくらいの、あるいはそれ以 上の値うちがあるだろう。しかし、すらりとしたレージー・ギルタナー から哀れなボピーにいたるまで、なつかしいすべての人々の姿を含めて、 私の生涯の、過ぎ去りしはしたが、消え失せることのないものを、それ はつぐなうに足りないだろう。 ── ヘッセ/高橋 健二・訳《郷愁 19560831 新潮文庫》P185 http://booklog.jp/users/awalibrary/archives/1/4102001077 4.壮年時代の感慨(長男と語ったこと) わたしは、ヘッセは感傷的な作家で、少年時代に感銘を受ける読者が 多くても、中年になれば忘れられるにちがいないと思いこんでいた。 どことなく、お説教くさくて、心を打たれなかった。 高校時代、疎遠になった井上くんが訪ねてきて、わたしの本箱を眺め、 あの美しいカバーの文学全集の一冊から《郷愁・春の嵐》を借りたいと 云ったのに「全集ものだから貸したくない」と断わってしまった。 傷ついた井上くんは、ふたたび現われることがなかった。 三十才をすぎて、わたしが同窓会の幹事をつとめた数ヶ月後、往年の 生徒会長(女医)から、はがきで礼状(197104‥)が届いた。 …… 「あのあと井上正雄さんを訪ねて、同窓会がどんなに楽しかった か、お話をしてまいりました」彼女は、しかし井上君のことを思いだし て、あるいは私にかわって、彼をはげましてくれたのです。…… 5.老年時代の消息(それぞれの命日) さらに彼女は、30年後に、井上くんの命日(20000103)まで伝えて くれた(Mai'20010112)。ボピーの命日(19‥0107)より三日前だった。 ヘッセの絵空事のような文学は、こんなにも身近に迫っていたのだ。 …… 「ぐあいがいいかい? ボピー」と私はなおもたずねた。しかし 彼はもう苦しみを脱して、私の手の中で冷たくなっていった。一月七日 午後一時だった。夕方、万事かたづけた。 ── ヘッセ/高橋 健二・訳《郷愁 19560831 新潮文庫》P173 後年、プロテスタント大学の副学長となった内村少年は、カナダ在住 の牧師になった有賀くんを教室に迎え「死生講座」を開く(20090621)。 http://d.hatena.ne.jp/westowncampas/20060708 われわれは、もっと井上くんについて語るべきではなかったか。 Key word;ヘッセ ── 《Peter Camenzind 1904‥‥ Germany》 http://www.enpitu.ne.jp/usr8/bin/search?idst=87518&key=%A5%D8%A5%C3%A5%BB (20091109)(20240923)
|