与太郎文庫
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1999年06月03日(木)  色覚異常

 
http://d.hatena.ne.jp/adlib/19990603
 
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 たたかえ! 色覚異常者     高柳 泰世・著
 
「色の見え方は、色覚異常ではなく、私の個性と考えてはいけないので
しょうか」
 色覚異常とレッテルを張られた人々に対する、世間の認識を変革しよ
うと著者は活動してきた。
 本書では、色覚検査で差別をされたり、子どもや孫に対する遺伝の不
安をつづった手紙が紹介されている。というのも、日本では色覚異常に
対する間違った認識が、高校受験や大学受験に際し、理不尽な多くの規
制を生み出してきたからだ。
「色覚異常」とは、日常生活には何の支障もない「少数者」の色の見え
方である、と認識を新たにさせられる。
(主婦の友社・一五〇〇円) ── 《山陽新聞 19980412》
 
 
 
 色の見え方 違っていい    デスクノート
 
 遅まきながら、というかようやくにというか、企業採用時の色覚検査
が一律ではなくなりそうだ。一律を義務づけていた労働安全衛生規則の
見直しが具体化しており、改正は時間の問題だろう。
 学校現場では、九五年から検査は小学校四年時に限定、それも学習指
導上配慮が必要かどうか知るために行うだけで、プライバシーは厳守が
求められている。
 色覚検査というものは、いわれなき差別を生んできたものの一つだ。
戦後世代にはおなじみの丸い色の配列から数字を読み取る「石原式検査
表」が用いられ、「異常」を特定してきた。その「異常」によって医師
などいくつかの業種が長らく門戸を閉ざし、有能な人材が何人も希望進
路をふさがれた。
「石原式」なるものは、石原忍という眼科医が戦前、徴兵検査用に開発
したものだ。それを戦後も学校現場が引き継いで、結果いわれなき差別
を招いた。その反省から九五年に学校保健法を改正して、現行のように
なり、検査表も「石原式」だけでなく複数選択肢が用意されている。
 石原医師は色覚に関する研究で戦前の帝国学士院賞なども受賞してい
るが、もはや検査表は絶対ではない。
 色覚異常は「色弱」とか「色盲」とか呼ばれ、大変誤解を招きやすい。
けれどそれは、特定の色のごく特定部分が見えにくかったり、重なった
りするだけだ。色彩世界がまるで違うわけではない。職業も微妙な色を
扱う特殊なものは別として、医師はもとより、画家もデザイナーも立派
に務まる。たいていの国が学校で色覚検査を義務づけていないことから
も、それは分ろう。
 ちょっと色の見え方が違う。それも個性。労働安全衛生規則の見直し
を機に、そういうふうにとらえられる社会にならなければと思う。日本
人は男で二十人に一人おり、表われにくい女性も十人に一人が遺伝子を
抱えている。ごく一般的な「現象」なのだ。
(解説委員・横田 賢一)――《デスクノート 20010606 山陽新聞》
 
 
 
 色覚異常の子供への対応例示 教師用に手引書 文部省作製
 
 色弱など色覚異常の子供に対する指導上の留意点を具体的に盛り込ん
だ初の教師用手引書を、文部省が二十七日までに作った。十万部印刷し、
小、中、高校などすべての学校に配布する。
 全国で四十万人に上る色覚異常の子供たちは「絵画の授業中にいじめ
られた」「就職先が狭められている」などの悩みを抱えており、この
「色覚問題に関する指導の手引」(A4版、二十八ページ)は、教材改
善や就職相談なについての教師側の対応をきめ細かく例示している。
 手引書が教師の基本姿勢として求めているのは�〇�童生徒をよく観察
して相談などに適切に対応する��教師の不用意な対応で児童生徒を傷付
けてはならない�9�板で色チョークを使う場合、赤や青は見分けにくい
ので白や黄色を使う。また地図、グラフの色分けなどは境界線をはっき
り書き入れる−など。
 生徒指導の面では、級友の無理解などから差別されたり、いじめられ
たりした時は教師が厳然とした態度をとるべきだとし、本人の悩みや心
配事を相談できる学内態勢を整える。進路指導の上では、進学や就職先
の相談をする際に、従来就職できないと考えられていた職業の中にも適
した職があることを調べ、企業に問い合わせる努力をするよう求めてい
る。
 後半は資料編。医学的な基礎知識や色覚検査の実施上の留意点を分か
りやすくまとめた。── 《山陽新聞 19890528》
 
 
 
 朝日新聞が逆転勝訴 〜 色盲治療記事控訴審 〜
 
 色盲、色弱の独自の治療法を�爐泙笋�し療法�瓩判颪�れ、医師として
の名誉、信用を傷付けられた−と、東京都豊島区目白三ノ四ノ一四、目
白メディカル・クリニックの山田紀子院長が、朝日新聞社(中江利忠社
長)と取材記者に一億円の損害賠償、謝罪広告を求めた訴訟の控訴審判
決が二十七日、東京高裁であった。
 佐藤繁裁判長は「記事は主要な点で真実。批判、論評部分も事実に即
している」と、朝日新聞側に二百万円の損害賠償と謝罪広告を命じた一
審・東京地裁判決を破棄、病院側逆転敗訴の判決を下した。
── 《山陽新聞 19900928》
 
 
 
 心が変われば「世界」は輝く 井西 祥仁 32(奈良県川西町)
 
 生まれつき「赤緑色弱」の私は、赤色が見えにくく、紅葉の季節など
何の楽しみもありませんでした。
 ところが最近、色弱補正メガネというものが発売されていることを知
り、購入してみました。
 それをつけてからというもの「今まで私が見ていた世界は一体何だっ
たんだ」という驚きの連続です。
 バラの花の驚くばかりの美しさを初めて知ったし、霧島ツツジの鮮や
かな朱色も目に染みました。
 新しい世界がひらけてきて、山紫水明の日本の自然をもう一度見直し
てみようと思っています。
 このことを何人かの友人に話すと同じように感動してくれました。
 そして、どうやら人間の幸福も全く同じかもしれないということに気
がつきました。
「幸福」は自分の身の回りにいっぱいあるのに、色メガネをかけている
ので見えないだけじゃないかと思います。
「クリスマスキャロル」の主人公スクルージもしかり。
「心」が変われば世界は輝いて見えるというのは「普遍の真理」ではな
いでしょうか。(団体職員)── 《談話室 19990601 産経新聞》
 
http://homepage1.nifty.com/EYETOPIA/sp/sikikaku.ko1.html
── 《色弱レンズを使ってみると》
 
 
 
 産経抄 〜 1999.6.2の産経新聞から 〜
 
 きのう本紙談話室に「心が変われば世界は輝く」という投書があった。
三十二歳のこの男性は生まれつき“赤緑色弱”で、赤色が見えにくかっ
た。ところが色弱補正メガネというものをつけてみると…▼「今まで
見ていた世界は一体何だったんだ」という驚きの連続になった。紅葉の
燃え立つ赤、キリシマツツジの鮮やかな朱。そしてどうやら人間の幸福
もそれと同じではないか。それはすぐ身の回りにあるのに、気づかない
だけではないかと気づいたという投書だった▼目のお医者さまによる
と、色覚異常は錐体色素のタンパク質部分をきめる遺伝子の異常によっ
ておこり、医学的には補正メガネでは治らない。色覚異常は日本人の三
百万人もいるが、しかし色の認識と感覚では、何が正常で何が異常か、
むずかしいものがあるという▼そんなことから世間の色覚異常には、
とんだ誤解から偏見や差別があるが、それはともかく世の中には「見れ
ども見えず」という言葉がある。物事の真偽や優劣を見分ける力がなけ
れば、いくら目をこらしても物は見えない。見る目がなければ何も見え
てこない▼折からきのうの『坂の上の雲』は、山本権兵衛と西郷従道
のことだった。権兵衛は海軍建設者としては世界海軍史上最大の男の一
人である。しかし権兵衛が万能者のように自在に物事をなしえたのは、
上に西郷という海軍大臣がひかえていたからだという▼「西郷は物事
の本質を見ぬくのが上手だった。そのかなめだけをにぎって、あとは春
の野のそよ風に吹かれているような顔をしている」(司馬遼太郎)。物
事の本質を見ぬくメガネがあったなら、それはほしいという人は多いだ
ろう。     ── 《 19990603 日本工業新聞社》
 
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 コラムニストさま (Let'19990606)
 
100-8125 千代田区大手町 1-7-2 サンケイ新聞社
日本工業新聞“産経抄”
 
 コラムの読者は、概してヒマをもてあましているから、瑣末なことに
めくじらたてて、なかには見当ちがいの反論をよこす手合いがいる、と
思われていませんか。
 たしかに、あまり多忙な人は新聞を読むたびに投書したりしませんし、
それぞれに応対する義務も、コラムニストにはありません。
 よほど重大な誤解を招くような事態が予測されるときには、ふたたび
紙上で釈明されることはあるでしょうが、ほとんどの投書は斜めに目を
通されてゴミ箱に投げこまれることでしょう。
 かくいう私は、無名の閑居老人でありますが、投書マニアではなく、
いかなる団体にも無縁です。おまけに御紙の定期購読者でもありません
から、どうぞ安心して、お読み捨てください。
 
 山本権兵衛が「海軍建設者としては世界海軍史上最大の男の一人」で、
「万能者のように自在に物事をなしえたのは」上に「春の野のそよ風に
吹かれているような顔」の「西郷という海軍大臣がひかえていたからだ」
というような見解は、司馬遼太郎の小説的評言であって、「世の中」や
「世間」まして「世界」「世界史上」に通用するものではありません。
 念のため、手もとの人名辞典をみると、権兵衛は海軍兵学寮第二期生
ですから、海軍建設者たり得ません。「世界海軍史上最大の男の一人」
というなら山本五十六か、東郷平八郎のことでしょう。
 また、「折からきのうの『坂の上の雲』は、山本権兵衛と西郷従道の
ことだった」とあるのは、コラムの読者には何のことやらわかりません。
 わたしの想像では、今回のコラム執筆にあたって、自紙の投書欄に目
をとめ、知人の「目のお医者さま」に電話取材されたらしい。そして、
連日たのしみにしている司馬遼太郎の作品を「折からきのう」にかけて、
読書もしくはテレビ番組で堪能されたらしい。
 社内で好評のため、翌日の系列紙に再録(この方を私が読みました)。
 ジャーナリストの先輩であり、流行作家としての名声をかちえた人を
敬愛されることは、一向にかまわないとしても「司馬遷には、遼かに及
ばない」自嘲的な筆名をみるかぎり、彼の作品によって(いまもなお)
ボーナスにありついている朝日新聞はじめ、大河ドラマ全盛期の原作者
としてNHK諸兄の心情は察しられるとしても、なんら恩恵もなさそう
な産経新聞までが、こぞって持ち上げるのはいかがなものでしょうか。
 連載のご苦労は、それなりにおありでしょうが、コラム業界あげての
翼賛会モード「くるしいときの司馬だのみ」は困ったものです。
 
 投書の主「三十二歳の男性」には、取材確認されましたか。
 彼は、ほんとうに「赤色が見えにくかった」と言ったのですか。
 
「生まれつき“赤緑色弱”」であることは当然で、世界医学史上たぶん
後天的色覚異常の症例は論じられていないでしょう(事故による視神経
傷害などは、いずれ解明の手がかりになるでしょうが)。
 また「日本人に三百万人もいる」のに、あなたの同僚・親戚・知人に
色覚異常の方は、存在しないのですか。あなたは、これまでの人生では
誰ひとり色覚異常者に出会った経験がないのですか。かりに、そうなら
今回のコラム執筆にあたって、なぜ該当者に取材しなかったのですか。
 昨今の失業者総数に相当する三百万人という数字は、身辺にひとりも
失業者のいない新聞記者が、ひとりも直接取材せずに経済記事を書くの
とおなじように見えます。ならば、身辺にひとりも犯罪関係者がいない
記者は、犯罪報道に従事できないか、といわれれば困りますが……。
 あるいは「医学的には治らない」のに、だれが“色弱補正メガネ”を
発明したのですか。投書の主は、どこで買ったのですか。もしこれが、
日本だけで三百万個も売れるなら、世界的需要はどうなりますか。
 全国紙の書籍広告欄に周期的に掲載される、一連の通俗書に「色盲が
治る!」というタイトルは、あなたの目に止まらなかったのですか。
 三十数年前の朝日新聞が、岡山大学医学部眼科教室で、色盲矯正法を
開発したというニュースは、御社の資料室にはスクラップされていない
のですか。
 あるいは“宮内庁某重大事件”のことは、御紙のデスクも整理部も、
思い出されなかったのですか。
 専門分野に立ち入るならば“ドルトニズム”という美術用語もあり、
いわば色覚異常に関するジャーナリズムの常識は、戦前の石原忍博士の
通俗的解説から一歩も進んでいないのです。
 オウムもコソポもクローンも、DNAもNASAも先端情報ですが、
色盲検査の導入から百年たっているのに「偏見や差別があるが、それは
ともかく」と片づけられる始末です。こうした偏見や差別こそ、誰にも
わかるような科学的合意が必要なのです。
「見れども見えず」というような実体のないことわざ、他にも「心眼」
とか「行間を読む」などの常套句は、広辞苑に載っているからといって、
現代人が共有しなければならない概念ではないのです。ジャーナリスト
たるもの、率先して廃すべきではないでしょうか。
 かくいう老人にも、ジャーナリストの畏友・知己が居りますが、誇り
たかく、尊敬されるべき数すくない職業であると考えています。
 すべての老人が、ヒマつぶしのために新聞を読むとはかぎりません。
残された日々に、あらたに解明できたこと、しみじみ納得できることを
知りたいのです。とくに、かつて不条理にみえた疑問についても。
 ぜひともご研鑚ご健筆のほど祈ります。
 
 追記
 もともと日記として書きはじめたものを、書簡形式に変更したので、
辛辣かつ揶揄的表現がありますが、ご寛容ください。司馬文学よりも、
色盲に関する私見が本論です。コラムとは逆の比重ですね。
 
710-0000                     阿波 之男
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 ◆ 
 
「三十数年前の朝日新聞」=《色盲に矯正の喜び 19580112 毎日新聞》
 
 NHK・TV《司馬遼太郎シリーズ・街道を往く》
 故・司馬遼太郎は、もと産経新聞の記者。
 博識あるコラムニストの読後感想文やテレビ観賞記などは、別の機会
に吐露されるべきではないでしょうか。
 
── 山田 紀子《色盲色弱は治る 19800705 KKベストセラーズ》絶版
http://bbs.pastel.gr.jp/972.htm
 YANO《和同会の話はこれ以上ムダかもね? 20000818》
 
http://d.hatena.ne.jp/adlib/20081003 はるかなる友へ 〜 最新ダ・ジャーレ&冗句 〜
http://d.hatena.ne.jp/adlib/20080926 明日に向って眠れ! 〜 古きよきアメリカの新顔 〜
http://d.hatena.ne.jp/adlib/20071114 色盲色弱の謎 〜 終りなき誤解 〜
http://d.hatena.ne.jp/adlib/20060906 九月六日生れの人々
http://d.hatena.ne.jp/adlib/20041101 色盲検査 〜 教育委員会の迷妄 〜
http://d.hatena.ne.jp/adlib/20030726 解剖学者の脳
http://d.hatena.ne.jp/adlib/20021122 ぬばたま
http://d.hatena.ne.jp/adlib/20010517 麿は磨ちがい団ちがい 〜 團家の人々 〜
http://d.hatena.ne.jp/adlib/19960605 早くセネカ!
http://d.hatena.ne.jp/adlib/19590220 異験 〜 色盲検査表の原理 〜
http://d.hatena.ne.jp/adlib/19580112 色盲矯正法 〜 門をたたくツエ 〜
 
(19990603-20081101)
 


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