与太郎文庫
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1998年02月25日(水)  傾老の日々 〜 築山新造記者のこと 〜

 
http://d.hatena.ne.jp/adlib/19980225
 
 山陽新聞書評によれば、筒井康隆《敵》は断筆中に執筆されたという。
 63歳の著者が、主人公75歳の老人ボケを描いたSF自伝だそうで、
すなわち一まわり(12年)後という設定が、どことなく俗物的である。
 
 築山新造氏は、朝日新聞記者で、全国中等野球大会を担当したそうだ。
 わが家に出入りした時期あり。白髪のインテリ老人で、幼い与太郎に
手帳を見せたことがある。
 
 びっしりと、細い字で(シャープペンシルか)書きこみされていた。
 笑顔の老人が「どうや、ボク、すごいやろ」と云った。
 築山さんが帰ると、母は笑って云うのが常だった。
 
「築山はん、また御飯どきに来やはったな」
 彼は、すでに引退して久しく、商売上の客でもなかった。まして子供
には、何の用件で訪ねてきたのか、ついに分らなかった。
 
 おそらく父が番頭をしていたツバメヤに、雑談のために立寄ってくる
インテリ文化人の一人だったと見られる。
(以上、思いだしたことの断章 19980225 システム・ダイアリーに初稿)
 
 ◇
 
 これらの記憶は根拠に乏しく、氏の遺族にとって不名誉かもしれない。
 しかし、与太郎の連想は、もうすこし踏みこんだ点にある。
 ある種の老人は、あまりに過去をふりかえりすぎるのではないか。
 
── いずれ、Myブログ《帰らざる客 〜 ぶぶ漬けおあがり 〜》と
題して、さらにくわしい実態を書きとめる予定です。
http://q.hatena.ne.jp/1155092147/31843/#i31911
 
 ひとつは、京の“ぶぶづけ”を食べた客の実例である。(20010709)
http://d.hatena.ne.jp/adlib/20050717
 帰らざる乗客 〜 謎の往復切符 〜
 
 いま思うに、もうひとつは、あるいは父が、徴兵免除の申請をして、
まんまと許可されたのは、氏の手引きによる可能性もある。
 組合専従者として、銃後に留まる工作ではなかったか。
 
 もうひとつは、松本清張の短編《発作》に登場する老人(元記者)に
酷似している。表題を《過熱》と思いこんだため、あちこちに書き散ら
したが、連作集《共犯者 19800525 新潮文庫》に収められている。
 
http://d.hatena.ne.jp/adlib/19990921 傾老の日々 〜 それぞれの岐点 〜
http://d.hatena.ne.jp/adlib/19450401 新洞小学校沿革史
http://d.hatena.ne.jp/adlib/18980801 十字屋十話 19680801(参照)
 
(19980225-20071206)
 


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