与太郎文庫
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1978年10月23日(月)  日曜細工入門 �� 汚さず余さず音たてず

 
http://d.hatena.ne.jp/adlib/19781023
 
 アメリカでは、電動工具の普及率は60〜70パーセントに達しているそ
うです。わが国のカラーテレビに匹敵するわけで、もはや日曜大工とい
った趣味的な要素でなく、日常生活には欠かせない必需品になっている
のです。
 もともと、アメリカ人は、ヨーロッパからやって来て、何もない大陸
に、まず家を建てることから始めた人たちばかりですから、むしろ、大
工道具そのものの普及率は、当初100%だったのが、だんだん下がって
いるのかもしれませんね。
 
 ■ DO IT YOURSELF!
 
 新聞や雉誌は、コーナーを設け、思いだしたように、本箱やテーブル
の作りかたを、図面入りでくわしく紹介してくれます。その道の専門家
が、手とり足とりの解説つきで、だれでも作れそうです。
 あなたは一年間で百万円もトクする、という広告で、外国の家具テザ
イナーの作品を、テキストと材料をセットにした通信販売(通信教育と
いうべきでしょうね)もあります。
 本屋さんに行けば、日曜大工コーナーがあります。左官や鉄骨まで、
その気になればひとりでできそうです。
 もちろん、こうしたテキストの指示にしたがって、材料をそろえて、
キチンと手順を踏めば、まちがいなく、完成写真と同じものが作れるの
です。
 しかし、何かちょっと気がすすまない、という読者も多いはずです。
 見本と同じものを作るのは、あんまり単純すぎてつまらない、と思う
反面で、細部を読んでみると、経験のない作業が続いていて、だんだん
自信がなくなる、というのが真相ではありませんか? 
 
 ■ 無精なあなたに!
 
 もっと簡単に、なるべく道具も使わずに、すぐに作れて、すぐ使える
ような、そんな都合のいい作業で、しかも独創的な作品ができないもの
でしょうか。
 独創性という点では、私たちはヒントを示す以外に方法がありません。
 しかし、無精なあなたが、気まぐれにやってみようと思われるなら、
なるべく簡単に完成できる工夫は、いくつか考えてみまL八二。
 特殊な技術や材料はもとより、道具箱がなくても、いちおう目的を透
せられるのが、この連載シリーズの欲ばった目的です。
 
 ■ あたしにも作れます!
 
 前置きが長いのは、もともと無精な人は、何だってすぐには取りかか
らない、という点を十分見こんで、いるからです。
 うまいはなし、というのは、なるべく時間をかけて検討すべきですね。
 私たちは、タイトルを《日曜大工》ではなく《細工》と変えることに
しました。
 この連載を、毎号つづけて読んでいただいても、マイホームは建ちま
せん。作りつけの大型家具も、対象外です。
 そのかわリ、気にいったモデルがあれば、いくつでも作っていただい
て、組みあわせのユニット方式で、大きな作品に什あげることは可能で
す。
 まず私たちは、基本の三原則として、《汚さず余さず音たてず》をサ
ブタイトルにあげています。
 つまり、あんまり大々的に始めますと引っこみがつかなくなる、とい
うのは、どんな場合にも予想できるからです。
 
 ■ 三原則を守る
 
 おとなりの奥さんに“まあ、すごい音でしたけど、何をお作りになり
ましたの?”と尋ねられて、ちっぽけな作品を見せるわけにも参りませ
ん。
 家中ペンキだらけで、髪の毛も真っ赤で会社へ行って“何をやった?”
と同寮に聞かれるものシャクです。
 ママや子どもさんたちに“パパ残った材料は、何に使うの?”といわ
れるのも困ります。
 いちばん理想的なのは、眠れぬ夜などにひっそり作っておいて、翌朝
出がけに“これ、作っといたよ”といえるような、そんな小物から始め
てみませんか? 
 
 ■ 道具をかぎる
 
 カンナくずや、サンドペーパーの砂は後始末がたいへんですから、使
わないことにしませんか。ノコギリも、クギも、カナヅチも、音がうる
さいので、使いません。
 接着剤とカッターナイフだけ使います。
 セメダインだと汚れるじゃないか、と思われそうですが、ご心配なく。
両面用の速乾性という新製品ですと、塗布面がおたがいにくっつくだけ
で、片面だけで、はスベスべしています。
 カッターナイフの刃にとって、丹念に塗れば、手を汚しません。
 いちばん便利なのはペーパーセメントといって、画材屋さんで売って
います。このほうカ安くて、用途もひろいので、ぜひひとつ買ってくだ
さい。木工ボンドも不要ですから、余分な買いものになりません。溶剤
のソルベックスとあわせて1000円ぐらいです。溶剤を流せば、いつでも
元どおりにバラせるのが最大の利点です。難点といえば、木工に使った
場合いくぶんグラグラします。
 なにしろクギを打たずに、箱のようなものを作るのですから、多小の
グラグラは目をつぶりましょう。あわててクギを打ってしまわずに、す
っかり出来上ってから、よほどヒマなときに、3本ばかりクギ打ちして
やれば十分なのです。
 
 ■ 材料をさだめる
 
 材料は、ベニア板にかぎります。
 相当に厚いものでも、カッターナイフで両面から切ると、静かに切断
できます。15ミリ厚(5分ベニアと称します)になると両面から5ミリ
づつ溝を入れれば、何とか切れますが、5.5ミリ厚(2分ベニア)を三
枚貼りあわせたほうが正確で、力も要りません。急いではケガをします。
のんびりと、ノコギリで切るつもりで、時間をかければケガも疲れもあ
りません。
 切り口を、ただしく直角にするコツもやはり、ゆっくりと軽く何度も
カッターナイフを往復させることです。
 べ二ア板は、最大寸法が1820×910ミリです。
 日曜細工ではセンチもメートルも採用しません。厳格な仕上げのため
にもミリ単位になれてください。
 日曜大工の店・スーパーマーケットで売っているのは、303×303を一
マスとして(一尺角なんです)1×3マスとか、2×3マスといったふ
うに裁断されています。
 まず最初は1×3マス(303×910)を一枚買ってみましょう。材料を
余さないためこの寸法でできる小物をデザインしてみませんか。
 ついでに、長尺スケールレ必要です。あとは、えんぴつ一本でよろし
い。
 全部あわせて2000円ぐらい必要ですね。
 必要な道具と材料を、もういちど点検してみましょう。
1.カッターナイフ(小さいのが便利です)
2.ペーパーセメントとソルベックス
3.ベニア板(1×3尺もの2分ベニア)
4.長尺スケール(2メートル)又は曲尺
5.えんぴつ(HB)便いすて直前のもの
 
 ■ 何を作るか? 
 
 私たちは、一枚の小さな2分ベニアを前にして、すぐに作れて、すぐ
に使える小物をデザインしました。上にかかげた板取図がそれです。週
刊誌やポケットの中味を放りこんで、ちょっとした秘密のかくし箱もあ
る、しゃれた小箱なんです。
 あなたの枕もとに置いて、その日から使えます。そして、これをその
ままの形で、プラスチックにアレンジしたのが、下の広告にある《月刊
山陽》ディスプレースタンドなんです。コマーシャルみたいでごめんな
さい。でも便利な小箱ですから、よく観察してください。次号では、く
わしい作りかたと、アイデアあふれるヒントを提供いたします。
 
http://d.hatena.ne.jp/adlib/19781023
── 《日曜細工入門 �� 汚さず余さず音たてず 19781023 月刊山陽》
 
(20061107)
 


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