与太郎文庫
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1971年01月28日(木)  四を三でワリカン 〜 河豚れっ面の人々 〜

 
http://d.hatena.ne.jp/adlib/19710128
 
 昨夜、多羅尾氏は(車が走りだしてから)客人に夕食の好みを尋ねた。
 客人は「どんなものでも結構ですが酒のツマミのようなのは苦手です」
と答えた。オイル焼きはともかく、フグは酒のツマミそのものだが……。
 
 多羅尾氏が予定して、予約していなかったオイル焼きの店は休みで、
通りすがりの河豚屋にあたることになった。
 おまけに与太郎に「キミ、尋ねてくれんか」という。
 
 案内を乞うと、あらわれた仲居が「ウチは高いですけど」という。
「いいよ、四人で上がりたい」はたして食いおわって勘定書きをみると、
二万二千なにがし!(当時の高卒初任給に相当)
 
 三人とも(二人は、かなり金持だったが)持合わせがない。
 結局、パーソナル・チェックを持っていた与太郎が、帳場に向かう。
「小切手でいいかな」「現金どしたら税金おまけしまっけど」
 
 つまり、現金なら税金をゴマかすが、小切手だと税金を上乗せる。
 マケてくれと言ったわけではないのに、どうも理屈に合わない。
 客をもてなした料金を(カゲで)値切るのも、無粋千万である。
 
 あとで考えると、要するに仲居らのチップが先決だったのだ。
http://d.hatena.ne.jp/adlib/20040530
 女中の棒先 〜 年金の行方 〜
 
 後日、多羅尾氏から「この前の勘定、いくらやった?」と電話があり、
「三人で割ろうか」ということになった。これも理屈に合わない。
 最初からワリカンなら、各々店を選ぶ権利もあったはずだ。
 
 いまさら文句をいうのも野暮だから、総額はいわず「一人七千円です」
と伝える(多羅尾氏の斡旋で、数日前に届いた地方紙の原稿料と、きっ
かり同額だった)。領収書も見せない代わりに、端数も言わない。
 
 あとの二人が「領収書を見せろ」といったら、舌を出すつもりだった。
 これで「高いな、ほんとに払ったのか」とでも云えば、机をひっくり
返したかもしれない。さすがに二人とも黙って払ってくれた。
 
(199701・・-02・・-19970427 山陽新聞・参照 20080319-0321)
 
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