与太郎文庫
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1954年03月10日(水)  福翁自伝の変遷

 
http://d.hatena.ne.jp/adlib/19540310
 
── 西洋学者が自叙伝を記すことがあることから、慶應義塾関係者は
福澤に自伝を書くよう勧めていたが、多忙を極め一向に執筆できないで
いた。そんな中、ある外国人から明治維新前後の体験談に関するインタ
ビューを受け、口述筆記という方法を思い立ったのがきっかけである。
福澤諭吉が口述した内容を矢野由次郎が速記し、その原稿に福澤自身の
手で推敲加筆するという形で書かれた。そのためか本文では福澤の記憶
違いなどが散見されるが、文中の誤りは脚注により指摘され、訂正され
ている。1948年(昭和23年)の速記原稿の発見で小見出しが付けられる。
また、福澤が個人的にも尊敬していたアメリカの政治家、ベンジャミン
・フランクリンの自伝を模倣したものといわれている。──(Wikipedia)
 
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── 『福翁自伝』が初めて単行本として出版されたのは明治三十二年
(一八九九年)のことであった。それから殆ど四十年して、昭和十二年
(一九三七年)に初めて岩波文庫版が出、私はそれに序文を書いた。そ
れから更に十七年で、ここに同じ文庫本の新版に解題を書くことになっ
た。初めてこの本が出てから五十五年である。顧みると『福翁自伝』は
日本の五十五年の変遷を見て釆たが、その変遷にも拘らず、『福翁自伝』
の価値は変らない、というような感想が起る。
  昭和二十九年三月十日 東京都広尾町  小泉 信三
 
(P322-323)
 
 後記
 
 この『福翁自伝』の新訂版は、岩波文庫としては四度目の新組みで、
全編を原則として現代表記に書き改めたものである。本文庫が四度の改
版を必要とした理由は、主としてその典拠の変遷に基づく。以下に本文
庫を中心として『福翁自伝』の書誌を綴ってみよう。
 
 福翁自伝の成立
 
 本書の序文にも記されてある通り、福沢諭吉は明治三十年(一八九七)
の秋ごろ、ある外国人の求めに応じて、維新前後の実歴談を述べたとき、
ふと思い立って、幼時から老後に至るまでの経歴の概略を速記者に口述
して速記させ、その筆記に手を入れて出来あがったものが、この『福翁
自伝』であるという。速記者は明治時代に著名であった矢野由次郎で、
その談話によると、口述は毎月四回ずつ、一回およそ四時間ぐらいで、
一回分の速記の原稿が出来あがると、福沢が自分で綿密に訂正加筆して、
更に次の一節に進むというやり方で、その口述の際には、ありふれた年
表のようなものを手にしていただけで、別に手控えのようなものも持た
ず、ことごとく記憶によって話したということである。
 
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── 福澤 諭吉・述/矢野 由次郎・速記
《福翁自傳 18980701-18990216 連載(67回)18990615 時事新報社》
── 福沢 諭吉/富田 正文・校訂《福翁自傳 19781016-19910515 岩波文庫》
 


 福沢 諭吉  慶応義塾開学 18350110 大分 東京 19010203 68 /天保 5.1212
 矢野 由次郎 速記     18‥‥‥ ‥‥ 東京 19‥‥‥ ? /時事新報《囲碁 虎の巻》
 小泉 信三  慶應義塾塾長 18880504 東京   19660511 78 /皇太子教育掛
 富田 正文  慶応通信会長 1898‥‥ 水戸 東京 19930827 95 /福沢諭吉協会理事長
────────────────────────────────
 Franklin, Benjamin   17060106-0117 England 17900417 90 /《富に至る道》

 
── 松本 慎一&西川 正身・訳《フランクリン自伝 19570107 岩波文庫》
http://d.hatena.ne.jp/adlib/20030114
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 ブログの進退 〜 超難問シリーズ #018 〜
 
>家族としてできることをアドバイスいただけないでしょうか<
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