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人物紹介


白い車の人物
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窓が開く音がして横を見ると、男性が窓から「よぉっ」というような仕草で手を上げ、私を見ていました。
一瞬、誰だかは分からずに居ましたが、何処かで見た事があるなと思い立ち止まりました。

「今、帰り?」

と、その男性に声を掛けられ、先週会った大学生だと思い出しました。

「え?あぁ、こんにちわ。今帰りです。今日、Mさんは・・・?」

その男性がここに居るということは、その理由が何であれ、Mさんと一緒だと思ったのです。

「いや、今日は一緒じゃないんだ。」

その男性が答えました。
私は、Mさんと一緒じゃないのなら、この人は一人でこんな所で何してるんだろう?と思いましたが、彼が近所に住んでいることをすぐに思い出しました。
きっと、他の誰かと待ち合わせでもしていて、偶然通りかかった私に声を掛けてくれたのだろうと思い、

「あ、そうなんですか。先日は、御馳走様でした。」

と先週、誰が払ってくれたかは分からないけれどファミレスでご馳走になったお礼を言いました。

「いや、あれは俺じゃなくてタグチが払ったんだよ」

とその男性は答えました。
ああ、あの二つ上の大学生はタグチさんって言うんだ。
そんな事を思いつつ、Y美達が私が立ち止まっているので前の方で待っているので、

「ああ、じゃぁタグチさんにお礼言っておいて下さい。」

と言い、そろそろ話を切り上げようとしました。
すると、

「今日、バイトは?」

とその男性に聞かれました。
Mさんから聞いてないのかなぁ?などと思いながらも、もしかしてMさんの予定が知りたいのかな?と勝手に解釈し、

「いえ、定休日なんです。Mさんも休みですよ」

と答えました。
すると、その男性は少し笑いながら、今度は

「いや、Mはいいんだけどさ。これから友達とどっか行くの?」

と聞いてきました。
どうやら、彼はMさんの事を知りたいんじゃなく、私の予定を聞きたいんだと、やっと気付きました。
だけど、なんで聞かれているのか不思議でなりませんでした。

「いえ、帰るだけですけど・・・」

戸惑いながら答えると、

「じゃぁ、乗ってかない?」

と言われました。
突然の思いがけない言葉に、私は訳が分からなくなっていました。

「え?あ・・でも、友達が一緒だし・・」

そう私が困って答えると、一歩離れた場所で待っていたRが

「私ならいいよ。いきなよ」

と言いました。
Y美とK子の方を見ると、彼女達も手を動かして「乗れ乗れ」という仕草をしていました。
でも、いくらMさんの後輩で確かに一度会った事があるとは言っても、一人で乗るのは少し怖い気がして、

「えぇ?じゃぁ、Rも一緒に・・・」

と言うと、その男性は

「いいよ」

と言ってくれましたが、Rには

「私、帰りに寄るとこあるから、亞乃乗せてってもらいなよ。」

と断られてしまいました。
どうしていいか分からなくなって、もう一度Y美達を見ると、「早く乗んな」と口パクで言っていました。

車の側で立ち止まっている私を、他の下校する生徒達も何してんだろうというように、見ながら歩いていました。
そして、待ってくれていたY美達も、少しイライラしているように感じ、迷っている場合じゃ無いような追い込まれた気持ちになりました。

「じゃぁ・・・R、また明日ね。ごめんね」

そう言ってY美達の方にも手を振り、私は

「それじゃぁ、お邪魔します」

と男性に言いました。

「どうぞ」

といわれ、車の反対側に回り後ろのドアを開けようとすると、

「前、乗って」

と言われました。
助手席に乗れといわれて、少し抵抗がありましたが、グズグズしてはいられません。
そのまま素直に助手席に座ると、

「じゃぁ、隠れなきゃ」

とその男性が笑いながら言いました。
先週、Mさん達に送ってもらった時に私達が隠れた事を覚えていたのでしょう。
その言い方がおかしくて、私も笑いながら伏せようとすると、

「椅子、倒した方がいいかも」

と言われました。
そう言われて、そうか寝そべればいいのかと思ったものの。
椅子をどうやって倒せばいいのか、場所が分からず戸惑っていると、

「左の椅子の下のとこ。レバーあるでしょ」

と教えてくれました。
一瞬、以前に前のバイト先のAさんの車に乗った時のことが頭を過ぎり、身構えそうになりました。
でも、その男性は手を伸ばしてくる事もなく教えてくれたので、ほっとしました。

椅子を倒し、横になるとなんだか変な感じでした。
隣に男性が居て、その横で仰向けになっている自分が妙に恥ずかしい事をしているような気分でした。
その時、ふいに男性が私の方に身体を傾かせ、その手が伸びてきて、私はドキっとしました。
でも、その腕はそのまま私の横を通り過ぎて、後ろの座席から上着と取ると、

「これ、あんま綺麗じゃないけど。かけてた方がいいよ」

と横になっている私に渡してくれました。
私は、一瞬勘違いした自分が恥ずかしくなりましたが、素直に上着を受け取り借りる事にしました。
その上着を顔から上半身を隠すように被ると、車はUターンをする為に学校の方へと走り出しました。

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「恋愛履歴」 亞乃 [MAIL]

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