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人物紹介


親公認
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それから9日の間。
約束の日が近づくに連れて、だんだんと不安になっていきました。
もしかして、先輩に急な用事が入ってたらどうしよう?
そう考え出すと、確認の電話をしたくて溜まらなくなりました。
でも、しつこいとか思われそうだし・・・と一生懸命に我慢しつづけ。
前日の夜は、何度も何度も電話を掛けてみようかという思いと戦いながら時計を見つづけ、23時を回ってからやっと、もう電話するには遅すぎる時間だということで諦めが付きました。

当日、何を着て出かけたのか、物凄く悩んだはずなのに覚えていません。
髪の毛を下ろして行った事だけは覚えています。

駅までのバスに乗っている時から、私の心臓はドキドキし始めました。
待ち合わせの13時より10分前に駅に着きました。
その10分が物凄く長くて、駅の時計が13時になると、また不安になりました。
先輩が来れなくなって、連絡が取れないで困っていたらどうしよう?
5分になり、10分になり。
私は殆ど、泣きそうになっていました。
階段を降りてバス停の方を見回しても、K先輩の姿は見当たりません。
物凄い不安で、もう来ないのかもしれないと思いました。

駅の時計が20分を指した時。
K先輩の家に電話してみようと思いました。
でも、あと少し。そう思って、さらに10分待ちました。
1時半になりました。
私は、不安で不安でどうしていいのか分からない心境になり、Rの家に電話をかけました。
Rとは、朝の通学は別になっていましたが、下校の時は一緒にいる事が多く、ずっとK先輩の話はしていました。
電話に出たRに、

「K先輩が来ないんだけど、どうしたらいい?」

と聞くと、あまりにも泣きそうな情けない声だったからでしょう、

「大丈夫?ともかく、電話してみなよ。それで居なかったら、私、そっち行ってあげるから」

と言われました。
それを聞いて、少し安心した私は、

「ありがとう。かけてみるね。また、後で電話する」

と言って電話を切り、そのままK先輩の家に電話をかけました。
呼び出し音が5回位鳴り、私は誰も居ないのかもしれない・・と諦めて電話を切ろうとしたとき、お母様が出ました。
名前を名乗り、K先輩いらっしゃいますか?と聞くと

「あ、○○さん(私の名字)ね。ごめんなさいねぇ。あの子、さっき出てったのよ。貴女から電話あったら、遅れるからって言っといてって伝言頼まれたの。もう少しで着くと思うから、待っててあげてね」

と言われました。
私はK先輩のお母様から伝言を言われるとも思っていなかったので、余計に緊張し、

「あ、すみません。どうも有り難う御座います。すみませんでした」

と何度も謝ってしまいました。
K先輩が、私と会うということを親に知られても良いと思っている事事態が、驚きでもあり、嬉しくもありました。
と同時に、私が電話をしてくるだろうと予測されていた事が、なんだかとても恥ずかしくなりました。
K先輩宅の電話を切ると、すぐに私はRに電話を掛け直し、

「お母さんに「もうすぐ着くから待ってて」って言われちゃったよー」

と報告しました。
Rも、なんだか少し嬉しそうに

「きゃー、それって、母親公認ってことじゃん?」

とからかい始めました。
そこで、素直になれない私は、

「えー、でも普通、こんだけ遅刻するってなったら、仕方なくなんじゃない?」

と本当は嬉しいのに言い返すと、

「そうかなぁ?どうでもいい相手だったらさ、親に伝言頼まないと思うよぉ?」

とRは言ってくれました。

「っていうか、それって、私が電話かけて来るだろうって思われてるってことだよねぇ?」

と聞くと

「そりゃそうでしょ。30分以上も遅刻するのに、相手が黙って待っててくれるなんて、普通、思わないでしょ。」

とRはあっさり答えてくれました。
それを聞いて、私はほっとしました。
もしかしたら、私の性格がしつこいとか、そんな感じで思われていて。
だから、電話があるってK先輩に思われたんじゃないかとか考えて、物凄く恥ずかしくて不安だったのです。

「いやいや、30分も私だったら待てないね。亞乃は偉いよ」

と更にRは、誉め言葉なのか、気休めなのか、一生懸命私を宥めるように言ってくれました。
Rとの会話で、物凄く軽い気分にしてもらい、笑った顔のまま電話を切り、何気に見た階段にK先輩の頭らしき姿が見えました。
咄嗟に私は、何故か気付かないフリをして、階段とは反対方向の改札の方に歩き出してしまいました。

少し駆け足の聞きなれた大きな足音が、背後に近づいてきて、私の肩をぽんと叩いた瞬間、分かっていたくせに、心臓が物凄く大きな音でドクンと鳴った気がしました。
我ながらわざとらしく振り返ると、K先輩が息をきらせながら

「いや〜、ごめん。ほんと、ごめん。」

と拝むように手を合わせて謝りだしました。
それを見て、私は慌ててなんとかその格好を止めてもらおうと、

「いえ、いいですよ。そんな。大丈夫ですから。そんなに待ってないですから」

と思わず早口で言いました。
K先輩は、

「あ〜・・・ほんと、焦ったよ。オレ、寝坊しちまったんだけどさ、お前と連絡とれないしさー。駅に電話しようかとか考えちゃったよ。」

と言い出しました。

「じゃぁ、出る前に電話した方が良かったですね。すみません」

「いやいや、お前は悪くないって。あ、俺ん家電話した?お袋に伝言頼んだんだけど」

「あ、はい。すみません、電話して、さっき伝言聞いたところなんです」

「なら、良かった。バスも来なくてさ、どうしようかと思って車で来たんだよ」

私は思わず、車?と疑問に思い、

「え?バスじゃなかったんですか?わざわざタクシー呼んだんですか?」

と聞き返しました。

「違う違う。親父に頼んで、駅まで送ってもらったんだよ」

K先輩のこの言葉に、私はまた驚いてしまいました。
お母様に伝言を頼んだだけじゃなく、お父様まで・・・・・
息子のデートの約束に協力してくれる両親であるということも勿論ですが。
やっぱり私としては、「私と待ち合わせ」だという事を両親に知られても良いとK先輩が思っているという事が、不思議でなりませんでした。
かなり疑問で、思わず

「え?大丈夫なんですか?」

と聞いてしまいました。
すると、K先輩に、意味が全く分からないと言った風に

「大丈夫ってなにが?」

と聞き返され、

「いや、、だから・・あの、、女の子と出かけるとかそういうのって・・・」

本当は、私自身の事を両親に何て説明して来たのかを聞きたかったのですが、さすがにストレートに聞けず、しどろもどろになってしまいました。


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私はその意味が分からず、戸惑いました。
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「恋愛履歴」 亞乃 [MAIL]

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