カエルと、ナマコと、水銀と
n.446



 クワガタ・ブルース

=クワガタ・ブルース=

トリブルからロウ。つまみをいじって出す音は、どこかはかなげ。ベーシストもギタリストも大して変わらず、その姿、なんだか哀れみの情。コオロギ様は自分の身体をふるって、音を出すようですが、僕たちはそのような高尚な発信器官はありませぬ。申し訳ないので、少し声帯震わした。発情期に打ちならす太鼓は、どうも子宮に響くらしい。音楽雑誌にそう書いて死んでいった、偉大なドラマーは実はインポテンツで、あまりにも大きないちもつは震わず。困ったものだと、ため息場の煙草を吐いたら、みなさまも、ぷかり、ぷかり。バンドマンたちはえら呼吸をするように煙草を皆様吸いますことね。パンッキッシュな頭をしながら、ゴスロリ少女はそう歌う。だけど、それもまた意味ない戯言で、どうも、みなさま、けたましいことで。


=ルルル=

泣きやむまでやめてあげない、夢を見たいならそのままそっとしてやるけど。ビブラート効いた音楽はレトロなトレモロをならして、爪弾きピーナッツの殻。ベース弾きは指にタコがあって、その蛸はくねり、あは。遠からずも近からず。丘を越えた野球ボールが君の頬かすって、バックグランドへころり。冷たい君の指をなめると、血の味がした。オー、マイゴッド。でも、僕の神様はいない。

2007年01月29日(月)
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