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『虹の家のアリス』 加納朋子 文藝春秋 - 2003年08月10日(日)

『螺旋階段のアリス』の続編です。
文藝春秋社の本格ミステリーマスターズからの出版となってるが装丁がイマイチ合ってないような気がするが、出版社の苦肉の策での刊行なんだろうか。

前作は夫婦がテーマだったが本作は家庭がテーマとなっている。全6編からなるが表題作意外はちょっと物足りないような気がする。ミステリーとしての切れ味が前作ほどないように感じられた。
その中でも表題作の「虹の家のアリス」がいい。こんな子どもを持ちたいと思われた読者は私だけじゃないはずです(笑)

全体を通して前作に比べて安梨沙の女性としての成長振りが目立つ本作だが、個人的にはちょっと純粋な前作の安梨沙の方が好きなのでちょっと読後感が落ちたような気がする。
私の読み方が間違ってるのかもしれませんが、どうしても加納さんの作品を読むと女性主人公と加納さんをオーバーラップさせてしまいますね(笑)


後半以降は仁木の家族や安梨沙の生い立ちもわかってきてファンの方には楽しめるかもしれません。
“謎めいた女性”の方が魅力的な方にはちょっとどうかなあって思いますが・・・

人の“悪意の怖さ”を描いているのも本作の特徴なんですが全体的にはやはり“優しい視点”で描かれてます。

個人的には作家としての技量はアップしてるのでしょうが、初期作品(『ななつのこ』など)に代表される圧倒的な個性は陰を潜めた気がして残念でならない。

評価7点。



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