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『不夜城』 馳星周 角川文庫 - 2003年08月02日(土)

馳星周さん初挑戦しました。新宿歌舞伎町の中国人裏世界を描いてます。

本作品はデビュー作ながら吉川英治新人文学賞も受賞されていて直木賞の候補にも上がった作品でもありますが、世界一節操のない街としての新宿歌舞伎町も馳さんならではの徹底された描写で楽しめます。


誰も信じれないで生きるわびしさというか虚無感が漂っている作品ですが、それだけ、筋金が入った作品だと言えそうな気がする。

台湾人と日本人のハーフの主人公健一にも当然善意はありません。逆に自分の幸せさを実感できる1冊とも言えそうです。
映画化もされビデオでは見ましたが、ちょっと映画の金城一紀がマイルドすぎるような印象も拭えない気がする。

主人公が途中で改心など一切行わない所に馳さんのこだわりを感じた。
誰もが真似を出来ないとわかっている内容に500ページあまりどっぷり漬かれるのは大きな収穫と言えそうです。

もちろん、健一と夏美の似たもの同士の境遇の2人の駆け引きたっぷりの恋愛模様もじっくり楽しめる所が嬉しい。
敢えて難点を言えば、同じような名前の人物が多くって混同しました。
もっと一気に読むべきだったのだろうか(笑)

でも、救いのないラスト(?)はこの小説にピッタシだと支持したく思う。

読後に自分の周りの人を今まで以上に信じたくなったのは私だけでしょうか?

評価8点。




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