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『斬られ権佐』(再読) 宇江佐真理 集英社 - 2003年05月02日(金)

昨年度の私の年間ベスト2の作品です。感想未アップのため再読しました。
宇江佐さん著作リスト《こちら》

主人公は、ほれた女医者の危機を助けるために生きているのが不思議なほどの傷を全身に負った権佐。彼は仕立屋であるが与力の小者としても働く。

宇江佐さんの看板作である髪結いシリーズとは違ったテイストの作品である。
捕物帖要素もほとんどなく物語としても重くて暗い印象は否めない。
物語りも読者の予想通りの展開となっていきます。
あたかも読者がそれを希望してるかのごとく・・・
しかし作者の訴えたい事は明確に伝わってくる。

女性からしたらこういう風に愛されたい。男性からしたらこんな女を愛したい。
女性が読めば幸福感を、男性が読めば男の心意気を強く感じるでしょうね。

いつ終わってしまうかもしれないけど、幸せをお互いにいたわり合い信頼しあって生きている姿がせつない。残りわずかだとわかっていても一生懸命生きる姿が胸を打つ。

現代物だったらあざといと思えるようなセリフや行動でも、時代物だから許容して読め読者に熱く訴えてくれるんでしょうね、きっと。

権佐が自分の命より大事だったもの・・・じっくり味わって読んでください。
最終章は本当に涙物です。
妻のあさみ、本当に強い女です。そばに蘭ちゃんがいるから彼女もずっとしあわせなんでしょうね。権佐が蘭にあさみのことをまかせたのだから・・

評価9点。オススメ


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