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「まゆみのマーチ」 重松清 小説新潮12月号掲載 - 2003年04月07日(月)

「小説新潮」2002年12月号に掲載された中編です。紹介文に「ナイフ」「エイジ」を超える感動作となってます。連作中編シリーズ開始!ということでとっても楽しみですね。今のところ2003年4月号で「あおげば尊し」が掲載されてます。おそらく3〜4編ぐらい集まったところで単行本化されるでしょうね。

主人公は40才の幸司。妻と中学生の息子との3人家族で東京在住。
母が死の直前のために実家に帰る。幸司の妹は“まゆみ”という名で、神戸に住んでいる。
まゆみは小学生の頃、ある出来事で登校拒否していた。現在の幸司の息子の亮介も似た境遇なのでありし日の母親の姿勢と、自分の亮介に対する接し方とをどうしても比べてしまうのであった・・・

なんといっても死の直前の母親の病室内で、まゆみの小学生の時のエピソードを回想するシーンが胸を打つ。親になってこそわかる子に対する深いまなざしを上手く描写しています。是非「まゆみのマーチ」読まれた方のお子さんにも歌ってあげて欲しいです。(その時は“○○○のマーチ”となりますが(^。^))

主人公の子供の時も大人になった今も、少し後悔をまじえて語ってるのですんなりと受け入れられました。現実に少しでも不安な問題のある方が読まれたらきっと多少なりとも心を癒してくれる作品だと思います。

主人公の年代層(40歳)にとって避けられない子供のしつけや教育問題、あるいは親の介護。とっても考えさせられます。特に子供の数が少なくなってきている昨今、いつも身近に病床の親のそばに子供が居てあげる事が出来ない状況が多いので、とってもリアルな話として読み取れるでしょう。

親の子に対する愛情を強く認識した主人公、人間的にも成長のあとが覗えます。これから自分の子供に対して自分が受けた以上に愛情を注ぐことが出来るでしょう。最後が前向きなんでとっても微笑ましく感じましたよ。

評価9点 オススメ


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