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いくつかアトラクションをまわったところで、空腹を覚えた二人は昼食を取る事にした。レストランという気分でもなく、手近な店で軽食を注文し、オープン席に陣取る。空気は冷たいが、晴れているせいか、さほど寒さは感じなかった。 「菊丸先輩達、どうしてるっすかね」 プラスチックの皿に入ったカレーライスを口に運びながら、リョーマは入り口で別れた菊丸と大石の事をふと思った。 「すまない。携帯を忘れたと、あの時すぐに言えば良かったな」 「まあ、いいんじゃない。きっと、今頃は二人で楽しんでるっすよ」 少なくとも菊丸は最初から別行動を取るつもりだったのだろうし、それならば邪魔をするのも気が引ける。あるいは、リョーマに気を使ってくれたのかもしれないが。 「お前は…」 「え?」 目の前の通りをなんとなく眺めていたリョーマは、控えめな手塚の声に視線を戻した。いつのまにか、食事の手を止めている。 「…どうしたの?」 「いや、なんでもない」 軽くかぶりを振って、手塚は再び手を動かし始めた。そんな様子を訝しく思いながらも、その手の動き、スプーンを含む口の動きにリョーマは見入ってしまう。手塚と二人きりで向かい合って食事をするなんて、今まで滅多になかったと、改めて気付いた。 ――ひょっとすると、これからも…。 そんな思いが脳裏を掠めたが、リョーマはそれを無理矢理押し込めた。 「なんだ。俺の顔に、何かついてるか?」 あまりにも見入っていたためか、その視線に少し居心地悪さを感じたらしい。手塚はほんの少しだけ眉をよせて、リョーマを見返した。 「ううん、別に。いつもは誰かと向かい合って食事すると、鏡みたいになるから…ちょっと新鮮だなと思って」 「ああ」 右利きに比べて、左利きの人間は少ない。リョーマの周囲も例外ではなく、だから向かい合えば相手とは動きが反対になる事が多い。 手塚が左利きなのは、もちろん偶然である。けれど、そんなささいな事さえ特別に思える自分に少し呆れて、リョーマは視線を再び通りへと戻した。手塚の方をみていると、自分の手が止まってしまって食事にならない。 しばらく二人は無言のまま、黙々と食事を続けたが、ふいに視線を感じてリョーマが顔を前に向けると、手塚がじっとリョーマを見ていた。思わず、リョーマの心臓が跳ね上がる。動揺を悟られないように、つとめて平静な声を出した。 「何?俺の顔に、なんかついてます?」 「ついてる」 「え」 何が、と問い返すよりも早く、手塚の手が伸びてきて、指先がリョーマの頬に触れた。そのひやりとした感触に、思わず目を閉じる。 「…!」 指は、リョーマの口元を軽くすくって、離れていった。リョーマがそっと目をあけると、手塚の白い指には、白い米粒がひとつ、ついている。 「よそみしながら食べているからだぞ」 「あ…ちょ、ちょっと…」 リョーマが制するより早く、手塚はその指を口元へ持って行き、そして… ぺろり、と舌ですくいとって食べてしまった。
手を伸ばしかけた姿勢のまま、リョーマは声もなく固まった。 「…」 「なんだ?」 「…」 「おかしなやつだな。ぼーっとしてないで、早く食べろ」 何事もなかったかのように、手塚は食事の続きに戻った。リョーマはなおも固まっていたが、手塚にじろりと睨まれて、ぎこちない動きでスプーンを動かす。 (こ…この人、なんで無意識でこういう事…!) 親愛の表現と受け取って喜ぶべきなのか、はたまた子供扱いされたと怒るべきなのか、上手く働かない頭で必死にリョーマは考えた。が、 (どうしていいかよくわかんない…) 結局、ただ照れただけで終わってしまった…。
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--------------------------------------- この続きを書き足して、リョ塚オンリーでコピ本にして持ってゆきます。 予定は未定とはいいますがね…えへ…(沈)
hidali
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