恋と友情どっちが大事?
なんて、割とよく聞く二者択一。そんなの何を基準に比べりゃいいかもわかんねーけど、だけど俺にも選択権くらい与えろ!

「湯浅、俺さ、井上に告られた。んで、付き合うことにした!俺も前からいいなーとは思ってたけど、まさか向こうもそうだったなんて思わなかったぜ」
「・・・俺も、好きだった」
「へ?」
「俺も、好きだったっていったんだよ。けど、ハジメはもう井上と付き合うことにしたんだよな」
「え、湯浅もって、ええぇ?!」
「・・・じゃ、俺らの付き合いもここまでってことで」
「は?ちょっ、湯浅?!」

湯浅という男はいつも怖い顔をしている、というのでちょっとした有名人だった。奴の強面はちょっとした有刺鉄線のようなもので、本人の意図もないのに衆人避けにはうってつけのものだった。とにかく奴は目つきが悪い。その上喋らない。凡人はお近づきになりたいと思うタイプの人間ではなかった。斯くいう俺もその一人。同じクラスになって一月近くが経とうというのに、それまで口を利いたこともなかった。
ある日の放課後。天候が一変して、急遽部活が中止になった。無駄な荷物は置き勉していこうと教室に寄ったら、のんきに寝ているデカブツがいた。
(湯浅だ。あの湯浅が寝てるし)
闇討ちにはもってこいだなどと、物騒且つ意味不明のことを思いついてその寝顔を除き見れば、それは穏やかな顔で寝こけていた。
(寝顔は普通じゃん)
と油断して眺めていたら目を覚ましてちょっと焦った。しかもかなりの凶悪面でガン見して来る。
(ヤバっ、俺締められる?!)
「・・・ああ、滝坂?」
寝起きの掠れ声で言われてちょっと拍子抜けした。
(わっ、たっ、なんだ?ヤられない??)
「・・・俺、何もされないの?」
「は?」
「え、いや睨まれたから、何か制裁があるのかと・・・」
「ああ、スマン。俺目が悪いからガン垂れてるように見えたかも?」
「目、悪いって、そんなに?メガネとかは?」
「いや、普段はコンタクトしてたんだけど、入学前に流してそれ以来・・・。買いにいくのが面倒で」
「って、この距離で見えんくらい悪いくせにっ!しかも入学からもう一月経つぞ、オイ!?」
そこではっと気付く。
「お前、もしかしてその傷、見えてないのが原因で怪我したとか言わないよな・・・?」
「・・・言う」
「なんつー物臭っ!おまえ、下手したら死ぬぞ!信号とか見えてるか?!」
「まぁぼんやりと」
「普通に不便だからメガネは買え!っつーか今から眼鏡屋いくぞ!」

「お前、物臭にも程があるぞ?せめて喋ってるときは相手見ろや、な!」

「いいよ、もう。俺、わかったから」
「つまり井上のことは建前なんだよな?」

2005年09月27日(火)

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