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2002年06月27日(木) 傷口の拡がる日

 明らかに苦し紛れの嘘を吐く。
 耳を塞いで何も聴こえないフリをする。
 嫉妬と羨望で目が眩みそうになる。

 此処から逃げ出してしまいたい。行先が在るわけではないのに、それでも此処ではない何処かへ逃げてしまいたい。


 悪口も陰口も苦手だ。嫌いな人間がいないとは云わない。むしろ嫌いな人間の方が多いかもしれない。それでも他人を貶めると己が穢れるようで嫌だ。
 「他人を傷付けたくない」とか「それくらいなら自分が傷付いた方がいい」とかそういうことは思わない。一見それは非常に優しげで、実は傲慢この上ない。
 他人が傷付くのも自分が傷付くのもそれは個人の問題で、外部から何か云えるわけではない。好きでもない人への挨拶を無視されたからって傷付くのは己の勝手で、それはどうしようもないのだ。どれほど気を遣ったところで傷付くときは傷付くのだ。何てことない僅かな言葉で、何気ない普段の仕草で、それでも傷付いてしまう。そういうものだから、仕方がないのだ。そう思っている。
 己らは全能ではなく、だからこそ惑い、悩み、苦しみ、傷付く。そういうものではないのだろうか。


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