さくら猫&光にゃん氏の『にゃん氏物語』
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2003年05月28日(水) にゃん氏物語 花宴05

光にゃん氏訳 源氏物語 花宴05

有明の君は儚い短い夢のようなあの夜を思い出しながら
物思いに沈んで暮している 
東宮の後宮に四月頃に入ると親たちが決めていたので悩んでいた

源氏もまったく手がかりがないわけでもないが 右大臣家の何女かも
わからず 自分に特に好ましく思わない弘徽殿の女御一族に恋人を
求めているのも世間体が悪く ためらって思い悩んでいた

三月二十日過ぎに右大臣は自邸で弓の勝負を行い 親王方や高官を多く
招待した 藤花の宴も引き続き同じ日に行われる
もう桜の花の盛りは過ぎていたが「ほかの散りなんあとに咲かまし」
他の桜が散ってしまった後に咲いて…と教えられていたのか
遅咲きで二本だけよく咲いていた

新築して姫君たちの裳着の儀式に用いて美しく飾られた客殿があった
派手好みの家柄のようですべて近代風にしてある
右大臣は源氏の君に宮中で会った時に案内を伝えてあったが
源氏の姿が見えないので残念に思い 息子の四位少将を迎えに出した

わが宿の花しなべての色ならば何かはさらに君を待たまし
わが家の花が平凡な色ならば何で貴方をお待ちしていましょうか

右大臣から源氏に贈った歌である 源氏は宮中にいて帝に申し上げる
得意顔だね と帝は笑って「使いまでよこしたのだから早く行って
あげたらよい 孫娘たちのために将来力になってほしいだろうから」
などと仰せられる

特に着飾って たいそう日が暮れた頃にようやく源氏は出かけた
桜色の唐錦の直衣 赤紫の下襲の裾をとても長く引いて…
他の人は皆 正装の袍を着て出席しているところへ 艶な宮様姿の
源氏が 皆に敬意を持って迎えられる樣子は格別である
桜の花の美しさもこの時は魅力が薄らいでしまった
音楽遊びも趣深く行われて終り 夜が少しふけた頃に源氏は
たいそう酔って苦しそうに見せかけて そっと席を立った


さくら猫にゃん 今日のはどう?

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