さくら猫&光にゃん氏の『にゃん氏物語』
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2003年05月04日(日) にゃん氏物語 花宴03

光にゃん氏訳 源氏物語 花宴03

源氏の桐壺には女房が大勢つかえていたから主人が帰ってきた音に
目を覚ました者もいた しかしこのような忍び歩きには興味を
持たないで「いつもよく続くものだ」という意味で仲間同士
ひじを突き合いながら寝たふりをしていた
源氏は寝室に入って横になるが眠れない

美しい感じの人だったなあ 女御の妹君であろう うぶだったから
五の君か六の君であろう 太宰の帥親王の夫人や頭中将が愛さない
四の君などは美人だと聞いていたから その人達であったら面白い
恋の経験になるだろう だが六の君は東宮の後宮に入れるはずだと
聞いているので その人だったら気の毒である

幾人もいる右大臣の娘の誰であるか見つけるのは難しい
あのまま終りにするつもりには思っていないのだが なぜ手紙を
通わす方法について教えずにきたのだろう
こんな あれこれ気にかかるのも心が惹かれている証拠なのであろう
思いがけないことが行われた事を考えると 藤壺にはあんな隙はない
昨夜の弘徽殿の隙があるのを比較して 弘徽殿の女御に少し軽蔑する

この日は後宴の催しであった 終日 源氏は忙しかった
十三弦の筝の琴の役をこの日は務めた 昨日の宴より穏やかな樣子に
滿ちていて 中宮の藤壺は夜明けの時刻に南殿に上がった
弘徽殿の有明の月に別れた女はもう御所を退出してしまっただろうか
などと源氏の心は もうそちらの方に飛んでいた

あらかじめ手抜かりのない良清や惟光に命じて見張らせておいたところ
源氏が御前から宿直所のほうに戻ると
「今 北の御門のほうに早くから来ていた車が退出するところ
それぞれの実家の人達がいた中で 四位少将 右中弁などが急いで
出てきて送っていくのが弘徽殿の実家の方々だと見受けます 女房だけ
でなく立派な方が乗っているのがよくわかり 三台ありました」
と報告するので 源氏は胸がどきどきした どうやって どの君と
確かめたらよいか 父の右大臣にその事を知られ婿として大げさに
扱われていいものだろうか 相手の性格も何もわからないうちに
結婚してしまうのは厄介だ そうかといってこのままでは耐えられない
どうすればいいのだろうと源氏は物思いにふけり寝ていた

そんな時 姫君がどんなに寂しがっているだろう 何日も帰ってない
のだから ふさぎこんでいるだろうか などといじらしく思いやる
証拠として交換した扇は桜色の模様を三重にしたもので 地の濃い
ところに霞んだ月が描いてあり 水の流れに月影を映してある
よくある図柄だが貴女の手に使いならされたなごりがある
「草の原をば」と読んだ時の美しい姿が思いおこされる

世に知らぬここちこそすれ有明の月の行方を空にまがへて
かつて経験のないほど心は乱れている 有明の月の女の行方を
空に見失って… と源氏は扇に書いておいた


さくら猫にゃん 今日のはどう?

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