ジンジャーエール湖畔・於
目次


2005年01月27日(木) you said アラスカ








働きたくない働きたくないとおもい続けてきていたけれど、去年いやいや大学を卒業してみたら、就いた仕事は非常に楽しいものだった。毎日電車に乗っておつとめすることと、毎月通帳にお金が振り込まれることがまったく結びついた出来事と考えられない。それは葉っぱのお金みたいな感じに近くて、そんなお金で毎日ご飯を食べたり、ガス代を支払ったり、寒くなったらコートを買ったりして生活していっている。そういうウワツイタ経済観念で、女一匹資本主義の世の中をえっちらおっちら生きています。





(今度はまたそれとは全然別の感覚の話。)
カリカリと、こんをつめて仕事をしておると、自分という人間の出自をぱったりと忘れてしまう事態に陥ります。今ここでパソコンを連打し、「付箋紙」、「内線番号」、「会議議事録」、「添付ファイル」など炎の事務局神器たちに囲まれていると、最近まで大学生だったこと、数年前まで両親と暮らしていたこと、友達とスーパーのルパン似の店員をよく隠れて笑ってたこと、赤い目のドラキュラと世にも美しい冬を過ごしたこと、「銀牙伝説ウィード」を読み興奮しすぎて鼻血を出した事、銭湯後のアップルジュースの美味さ、恋人からもらったかわいいメトロカードなど、それまで持っていて大事にしていた記憶や物事がすべて自分から剥がれていく気がして、紺色のスペーシーな空間に一人で漂っている気分になる。そこでは自分の唯一の居場所というのは自分自身のこの肉体だけ。この魂は入れ物にのって日々旅しているように思えてならない。世の中はそういう乗り物の動線が錯綜し描かれてできあがっているようにみえている。その軌跡は人呼んで「KIOKU」となり、時に甘美な気持ちにさせ、時にその者を苦しめることもある。






今日ふいに思い出したのは、
むかし大学内のトラベルセンターで京都旅行の手配をしてたとき
友達の友達がいて(初対面)「どこに行くの?」ときくと
その人は間髪入れず「アラスカ・・・」と答えたこと。
その一言だけで行ったこともないのにアラスカのオーロラが目の前にサァーと広がった。


有楽町ビックカメラに設置されたオーロラビジョンには
「元同級生2人を殺害…容疑者…死刑確定」という文字が浮かび上がっていた。
オーロラビジョンはその名に相応しいビジョンを見せないなと想い、山手線に乗り帰る。















cottonkyaori |MAIL