ジンジャーエール湖畔・於
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2002年09月16日(月) ココア甘くてぼやく ママ

 雨なのに家さがし
 わたし
 メリーベル(まま会社での渾名。)
 A子ちゃん
 三人で鷺沼ってとこまで物件みにいった。

 わたしはほんとおは高円寺とかー浅草とかーに
 住みてーっんだよ!

 
 いっつも家みにいくとどっかの部屋を
 「わたしの部屋さー」とかいっちゃうんだよね
 ここはーリビング、ここはーメリーベルの部屋、
 とか想定してみてるから、つい。
  例:「わたしの部屋さー陽当たりどうなのかな。」
 それ聞いて不動産屋のお兄さんかなり嬉しそうだった。
 これは脈あり!て思ったみたい。
 ことわるのに。期待させてゴメンナ。


 そこの家、玄関の絨毯がボロッボロ!
 前すんでた人がいつも帰りがおそかったもんだから
 飼い犬がいつも玄関で待ってたんだって。
 それで絨毯ボロッボロ。地団駄したんだよ、犬。
 かわいそうだったんだ。
 うちなんて猫なのにいそいで帰るもん。
 猫は寝てるから大丈夫だよってみんないうけど
 それでもわたしが帰ると玄関まで来てゴロにャンするから
 やっぱり、早く帰るらなきゃと思う。
 それが犬だったらなおさらです。
 

 駅前の℃トールでA子ちゃんの彼氏との別れ話きく。
 わたしが生まれる前からふたりはつきあっていたから
 かなりながいのに。20年以上だよ。
 愛も去るのね。と煙草をぷかり。

 出会いかたが痺れる。

 彼が医者として働いていた病院の電話交換室にA子ちゃんはいたの。
 彼が交換室にたまたま用事があってのぞいた時にはじめて彼は
 A子ちゃんという人をみつけるの。
 『なんだか黒目がちの静かーなお嬢さんがいるなー』って思ったって。
 でもその時はまだふたりは言葉をかわさなかったの。
 ある時、A子ちゃんが仕事中に電話をうけると
  「ぼく。・・・想湖だよ。外科の。」
 A子ちゃんはすぐ彼だとわかったといいます。だけど
  「え?」
 とわざとトボケけます。
  「この前、交換室で会ったじゃない、想湖。」
  「はぁ...?」
  「きみ、名前なんていうの?」
 A子ちゃんはその時うれしくてしょうがなかったって。でも
  「あのー失礼ですけど、何なんですかッ?」
 すぐ名前を教えると軽いオンナにみられると思い
 毅然とした態度でそう応えたそう。
 想湖の何度目かの電話でやっとA子ちゃんは名前を教えたんだった。
 それから、はじめてふたりはデートするの。

 当時A子ちゃんと一緒に住んでいたメリーベルが云うには、
 「その日想湖とA子さん目黒エンペラー行って帰って来なかったんだよ!
  あたしが7時に帰らないだけで田舎に『お父ちゃん、メリーが帰って
  来ないんだけど〜』って電話かけて怒る人がさ!」
 
 さんざん焦らして名前も教えなかったのに
 ずいぶん簡単に目黒エンペラーいっちゃうんだね。
 そっちは焦らさないなんて気のいい女性だと思う。

 ただ、気になるのはその時、想湖は奥さんをもらったばっかだったということ。
 結婚したばっかですぐに他に好きな女の人ができちまうの?
 まったく、男ってやつぁ〜よお。
 そんなの想湖のような奴だけだと信じたい。


  
   (註:「メリーベル」ママの渾名 萩尾望都『ポーの一族』から
      「A子ちゃん」ママ姉です 現在50才独身です     
      「想湖」仮名です
      「目黒エンペラー」目黒にある老舗ラブホ)
 


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