ジンジャーエール湖畔・於
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2002年07月05日(金) 夜の森が飲み込む赤い盗難車いくら逃げてもレコードの上

ケネス・アンガ−特集にいこうとして時間まちがえてジ・エンド。
瀬々敬久監督、脚本井上紀州の「HISTERIC」観たよ。
瀬々監督はピンク映画の四天王の一人だそう。
小島聖演じる地味め女と、千原浩次演じる破滅型の男のカップル。
パッケージには「ボニ−&クライド」がどうたら、とある。
こういう無軌道に刹那的に生きる若い男女モノに、
私は簡単に陥落してしまふ。無条件でスキなのね。
「パッと生きてパッと死ぬ。太く短く生きるんや」といって
生き急ぐ千原弟はせつない。
地味に予定調和な未来をいこうとしてた聖にとっては千原弟がみせる
新しい世界が新鮮で魅力的でないはずがない。
しかし、いったんはなればなれに人生をあゆみだしてしまった二人は
もうかつてのあの夢のような世界へは戻れない。
ぶ然とした表情の千原が、突如聖の子供に戯けてみせたタコ顔、
それをみてなんともいえない気持ちになる聖。
別れた男だけど、この男のこーゆーところがスキだった。
みたいなことを聖に思い出させるのだ、そのタコ顔が。
このシーンがこの映画そのものであるような気がする。
このシーンのために他のシーンがあったかのような気すらする。
聖が現実に生きる人間だとしたら、千原は夢のような非現実的なものの
象徴である。
でもどんなに退屈だろうと、無味乾燥だろうと
人間は現実に生きていかざるを得ないのだ。
「パッと生きてパッと死ぬ」なんて都合よくはいかないのですね。
「だるいせつないこわいさみしい」(穂村弘)なんです。


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