ジンジャーエール湖畔・於
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2002年05月02日(木) D坂 と 殺人事件

突然だが、小田和正の自己ベストアルバムのCMは変だ。
小田さん本人が出演していて、自転車で坂を立ちこぎしながら
そのアルバムに入っているすべての曲のサビの部分だけを歌って
紹介、というものだ。けれど、、、

 ♪きらきらっあのーひあのーときっさよならっさよならっ
     (「キラキラ」→「ラブストーリーは突然に」→「さよなら」)

とまあこんな調子でなにかにとり憑かれたかのように、なにかに追われているかのように、落ち着きなく15曲歌い流しまたたく間にCMは終わる。
あんた?ちょっと!大丈夫!?と言いたくなる異常な和正。
映画「シャイン」のジェフリー・ラッシュ扮するデビット・ヘルフゴット
のことをちょっと思い出した。
異常な和正の歌はまるで言語サラダだったから。
自転車で坂をのぼりながらこんなせわしなく歌をうたうのは
さぞ大変だっただろうに。
息があがってさぞ鼻の穴がふくらむことだっただろうに。
小田さんはこんなこともやってくれちゃうんですねぇ。
あの坂はdokoの坂なのだろうか・・・

ブックオフにて「箱庭センチメンタル」(小林キユウ)購入。
文京区音羽幼女殺害事件、新潟県柏崎市女性誘拐監禁事件、佐賀市十七歳少年
バスジャック事件、世田谷一家殺害事件、弘前市武富士強盗放火事件、浅草レッサーパンダ短大生刺殺事件。
これらはどれもまだ幾分か記憶に新しい衝撃的な事件である。
著者は徹底してこれらの事件の足どりを追い、いわば追体験のように
現場を訪れることで、犯人がみていたであろう風景を想像する。
そうして見えてくる事件風景、その世界は意外なほど穏やかだったりする。
それ故に、そこで起きた事件が恐ろしく思われる。
例えば文京区音羽幼女殺害事件の現場である音羽幼稚園前の公衆トイレ。
男子用・女子用と書かれた小さな小さなかわいいトイレ。
そのトイレ脇におかれたシクラメンの鉢。
横には人形とココアの缶が置かれている。
園児たちがかわりばんこにジョウロを持って水をやっている姿が
目にうかぶ、と著者は想像してみる。

年中うかない顔してため息ついてるワタシでも、
「世界中にアイ・ラブ・ユウ」
なんて思う瞬間もある。たまに。
けどふだんは世界はグロテスクにみえる。
それはもしかして、感性の鈍い私が見落としているだけ?
世界はほんとうはちっともグロテスクなんかじゃなく、
素晴らしい、愛おしいものなのだろうか。
たまに垣間見る「世界中にアイ・ラブ・ユウ」が真実なのか。
そんな風にくるくる反転する世界観で生きているのがわたしたちなのでしょうか。
こういう矛盾・渾沌・不条理に出くわすと、ますます私の頭の中は
対応できなくなってしまう。
理解できない世界に生きることがこわくてしょうがない。
人生は冒険?
いやなだなー。ジンジャーエール飲んでいたい。
これからおこることにワックワク・どきどき!なんて発想できない。
すべて不確かなもの。でもそれがいや。
え?わからないからこそ楽しいんじゃないかって??
 
 


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