KENの日記
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2018年06月02日(土) シューベルトピアノソナタ第21番変ロ長調D960

武蔵浦和図書館からマウリツゥオ・ポリーニの演奏するシューベルトの後期ピアノソナタ集(19番・20番・21番)を借りてきて聞いています。この中で21番のピアノソナタは私にとって思い出深い作品です。久し振りに21番D960番を聞いてみて色々思いを巡らしたので記録しておきます。

この長大なソナタを最初に聞いたのはポリーニが二回目に来日したときのコンサートでした。1976年3月9日の上野文化会館大ホールは若き天才ピアニストの登場に期待する聴衆が超満員で異様な雰囲気だったことを覚えています。演奏曲目はシューベルトのD960のソナタとシューマンの交響的練習曲でした。ポリーニは1942年生まれなのでこの時34才です。シューベルトは32歳で亡くなりました。このD960を含む最後の3つのピアノソナタ は亡くなる2ヶ月前に作曲されたのでした。この時のポリーニはシューベルトがこの曲を作曲した歳とほぼ同じでした。

今回借りてきたD960は1987年6月の録音でポリーニ45歳の時の録音です。来日から約10年後の録音です。押しも押されぬ第一人者となっての録音です。この演奏を聴いて昔の感動を少し思い出しました。テクニックの冴は当たり前ですが、音の(特に重音)のすばらしさはすごいです。まるでオーケストラの弦楽器・管楽器・打楽器のように混じっていながら、それぞれの別な役割を果たしてるように引き分けられています。また奇を衒うようなところは全くなく生真面目に演奏されています。

家には音源として、ハスキル、リヒテル、ホロヴィッツの演奏があります。それぞれが個性的な演奏ですが、シューベルトの第21番D960に限ってはポリーニの演奏が私に一番「しっくり」くるような気がします。




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