KENの日記
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2015年01月30日(金) イスラム国

イラクとシリアの両国に跨って自ら「イスラム国」を名乗っているイスラム原理主義(過激派)が勢力を維持しています。そのイスラム国に忠誠を誓ったというエジプトの反政府組織がエジプトシナイ半島でエジプト軍・警察組織を襲って30人程の死者を出したそうです。中東の国々においては自国政府に不満を持つ反体制派が武力に訴えて反乱を試みる事件が相次いでいます。各国の反政府組織はどうも「アルカイダ系」「イスラム国系」の二つのグループに集約されて行きそうです。

現在はこの「アルカイダ系」と「イスラム国系」は対立関係(ライバル関係)にあるとされていますが、果たして今後とも対立の構図が続くのかどうか不明です。というのも両者には「イスラエル」「米・欧州」「自国の専制王政政権」という共通の敵があります。現在このような共通の敵を横において勢力争いをしている状況なのです。この二つの流れは「アルカイダのテロ能力」と「イスラム国の人民統治能力」を併せ持つ組織に一体化されない保証はどこにもありません。

イスラエルは現在モスリム内部の争いに「高みの見物」を決め込み、米・欧州連合は「空爆」に徹しています。現地で直接戦っているのは「イスラム国に敵対する反政府勢力」ですが、この勢力は非常に頼りない組織です。イスラム国に正面から挑んで優勢に戦っているのは「トルコ系クルド人組織」だけで、クルド人勢力以外のシリア・イラクの反イスラム国勢力はアメリカがどれ程訓練して武器を提供しても「イスラム国」と真っ向から勝負するとは思えません。

アメリカは「イスラム国」を決して「国」としては認めないでしょうが、それならばイラク・イラン・イエメンにおいてどのような勢力が政権を握るのと期待しているのでしょうか。「イスラム国」に対抗できる「健全な反政府組織」を育て上げることができるのでしょうか。その「健全は反政府組織」は「イスラム教」とどのような距離を持つべきなのでしょうか。残念ながらトルコのような安定した非イスラムの「世俗政権」を樹立するのは難しいと思います。むしろ統治能力がある「イスラム国」の変革・発展に期待することはできないのでしょうか。「日本人人質事件」はまだ解決していませんが、人質解放に向け当事者間で「交渉」ができる状況であるとすると、「イスラム国」は以前に比べて変化してきているような気がします。

思い返せば、第二次世界大戦では先進国どうしで戦い、ユダヤ人大虐殺があり、日本の東アジア侵略があり、戦争解決のために「二発の原爆」が必要でした。その時からまだ70年しか経っていないのです。西側あるいは欧米諸国が「十字軍の野蛮さ」「南北アメリカ大陸の住民虐殺」「奴隷制」などの蛮行から「健全な社会」に変わるためには数百年の年月が必要でした。「イスラム国」が変質し国際社会に受け入れられるような国になるという状況は不可能なのでしょうか。




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