KENの日記
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2015年01月20日(火) スリランカ大統領選挙の裏でインドスパイが暗躍?

香港の「South China Morning Post、SCMP(南華早報)」がコロンボとニューデリーからの情報として「スリランカ大統領選挙に際し、インドのスパイが「ラジャパクサ大統領打倒」のために工作をおこない、選挙に先立って国外追放となった」と報じました。SCMPはインドと中国とを比べると「中国寄り」ですから、中国政府への「リップサービス」の意味を十分あると思いますが。

記事の内容は、中国との関係を深めるスリランカの「ラジャパクサ大統領」がインドと協定に反してインドに通告せずに中国の潜水艦2隻のコロンボ港寄港を認めたことが直接に引き金となったのだそうです。インドの秘密工作員は「当時ラジャパクサ政権内部にあった「マイトリパラ・シリセナ氏」に対してラジャパクサ政権からの離脱を説得し、当時野党第一党の党首で大統領選挙立候補が予想された「ウィクレメシンゲ氏」を説得して立候補を断念させ、前大統領の「チャンドリカ・クマラトゥンガ女史」の支持を取り付け、野党統一候補としての「シリセナ氏」の選挙運動を支援したということです。

この話は十分にあり得る話だと思われます。大統領選挙後に「ウィクレメシンゲ氏」が政権運営経験者として「首相」に就任しましたし、シリセナ氏は「チャンドリカ・クマラトゥンガ女史」に与党党首就任を要請しました。そして何より大統領選挙実施決定以前には無名だった「シリセナ氏」があれよあれよという間に「野党統一候補」の座を確保したことでした。

インドの秘密工作員はスリランカ国民の気持ちを非常に良く理解していたのだと思います。「内戦勝利・終結」の英雄「ラジャパクサ氏」の政治は身内ビイキで汚職の噂は絶えませんでした。さらに内戦後の民族融和・戦闘で荒廃した地域の復興が遅れていて国民の間には不満が燻っていました。そこで、これまでのスリランカ有力政治家の体質とは違って清廉潔癖な印象の「シリセナ氏」を大統領候補選び、反ラジャパクサの政治家を総動員して大統領選挙を戦わせたという話は納得できます。

結果として大方の予想に反して「マイトリパラ・シリセナ氏」の大統領選出となりました。選挙自体はスリランカ国民の選択に間違いありませんが、常に混乱し遠回りするスリランカの政治体質と違ってあまりにもストーリーが出来過ぎているように気がしました。

今後のスリランカ情勢としては、すんなり身を引いたラジャパクサ氏の動向、ラジャパクサ時代の汚職追及があるのかどうなのか、更にはラジャパクサ氏に接近した「中国」の出方も気になるとことです。更に言うと「サンフランシスコ講和会議」における「恩」を忘れることなくこれまでずっと経済援助を続けてきた日本政府がインドと中国の間でどのように動くのかも注目したいところです。




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