スリランカを訪問した「ローマ法王」が短いスリランカ滞在時間の中で、北部の「マドゥーチャーチ」を訪問しました。コロンボからマドゥーまでの長時間の車での移動は高齢な法王の身体に非常に大きな負担になるだろうと思っていたら、コロンボとマドゥーチャーチの間をヘリコプターで往復したということです。
幸運にも私はマドゥー教会を訪問するチャンスがありました。とにかくとんでもないジャングルの中にある教会なのです。辿り着くことが困難であればある程「巡礼」の価値が上がると考えるならば、マドゥーチャーチは世界でも有数の「巡礼地」なのです。
私が訪れた時代は周囲のジャングルはスリランカ反政府組織の支配下でした。当然ですが戦局が緊迫してくると訪問することはできませんが、幸い私が滞在した時代に内戦終結に向けた話し合いのムードが醸成され、政府軍・反政府軍とも非常に冷静に対応していたので訪問することが出来たのでした。
教会のあるジャングルの南側には北西部の主要都市マナーに向かう街道(マナー・ロード)がヴァウニアから走っています。その道沿いには嘗て鉄道が走っていましたが、当然のことながら鉄のレールは全て剥がされていました。この鉄道の復興はまだ時間がかかりそうです。
フランシスコ法王の訪れを機会にマドゥーチャーには「キリスト教徒」だけでなく、仏教徒・ヒンズー教徒・イスラム教徒のスリランカ人が多く参拝に押し掛けたようです。考えるとスリランカにある教会(キリスト教)、寺院(仏教)、コーヴィル(ヒンドゥー寺院)、モスク(イスラム教寺院)は非常に寛容だったと思います。宗教の別なく誰でも参拝できました。
この状況に比べるとインドの現役のヒンドゥー寺院(世界遺産に登録されていない)とかゾロアスター教寺院の「アジアーリ」は異教徒の神聖な区域への入場を断っていました。スリランカのおおらかさの基本は多数を占める仏教徒の姿勢にあるのかもしれません。数日前の大統領選挙で「国内融和」に向けてハッキリと意思表示したスリランカの人々は、フランシス法王を迎えて法王の法話を聴き、フランシス法王と共に祈ったことで、自分達の選択の正しかったことを実感したと思います。
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