スリランカに住んでいるときにも、ガネーシュ神に出会う機会は多かったのです。スリランカの仏教寺院においてもあちこちにガネーシュを見ることが出来ました。有力な寺院では本物の象を飼っているところが多いのですが・・・。
そして恥ずかしいことに片方の牙が欠けていることを、最初は壊れたのか、欠陥の一種かなと思っていました。そうしているうちに、全てのガネーシュ像の片方の牙が欠けているので何か「謂れ」があるのだろうと思いはじめたのです。
この話にも様々なものがあるようですが、本に書いてあった話は以下のものです。
インドの有名な物語の「マハーバーラタ」の作者が、ガネーシュ神に物語の口述筆記を頼んだそうです。物語の作者は頭の中からストーリーが溢れ出る天才である一方、ガネーシュも知識・技能が秀でていて書き取ることは大の得意で、つい「競争」になってしまったのだそうです。作者は息が続かなくなると、難しい言葉を並べた文章を考えて、ガネーシュが苦労して筆記する間に休むことができたのでした。そうしているうちに、ガネーシュの筆記用具が壊れてしまったのです。そこでガネーシュは自分の牙の片方を折って筆記用具に使ったのだというものです。
母親の風呂の「見張り」だとか、この口述筆記競争の話だとか、ガネーシュは真面目で、優秀で、粘り強いというように思われています。そうした印象はそのまま「インドの象」に当てはまります。
そういえばムンバイでもデリーでも象は見かけません。昨年暮れに旅をしたインド南部のタミールナドでは寺院で見ることが出来ましたが・・・。
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