KENの日記
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2004年04月13日(火) 不透明なスリランカ情勢

今月二日(4月2日)に行われたスリランカ総選挙は、前回に比べて平穏裏に行われたということで国際的にも評価されました。日本の選挙監視団も監視業務は楽だったようです。


一方選挙後の情勢は一段と不透明です。大統領派が首相派を破ったことは事実ですが、それでも過半数には達していません。まだ国会が開会されていない、つまり首相が国会で指名されていないのに、大統領は首相を指名してしまいました。閣僚も決まりつつあります。


大統領に首相の任命権限があるのですが、それはあくまでも国会議員による選挙によって選ばれた首長を任命するのです。どうもよくわかりません。その手続きもさることながら、政権内に不安材料があり、早くもそれが見え隠れしています。というのは、大統領と連携して政権奪取に成功した「JVP」(マルキスト党)が大統領に対して、閣僚枠の上積みを求めているのです。大統領は今後この連立政権内の要求に悩まされるでしょう。


実際「JVP」は改選前に16議席だったのですが、今回は39議席獲得し、首相派の敗北を決定的にしたひとつの要因となりました。社会主義的な政策を掲げ、農村部を地盤にした「JVP」の躍進は、前首相の経済運営に不満を持つ国民が増加していたことを示しています。


一方、反政府組織(LTTE)は、組織内の反乱分子の制圧に成功しました。従って分裂していたスリランカ東部も一応LTTEの支配下に戻ったことになります。しかし、この事件をきっかけにして、LTTEは暴力・テロリスト集団であることを証明してしまいました。民主主義的手続きや法律制度ではなく、暴力が支配ルールであったのです。


このように、政府側・LTTE側双方とも、内部に不安を抱えての和平交渉が始まります。選択した国民が一番苦しみます。それが国民の選択なのですから、非常に皮肉な結果で、スリランカ国民は運が悪いです。




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