ゼロの視点
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2002年11月06日(水) 子守り

 午後から、友人に頼まれてベビーシッターもどきのために、外出。この友人とは、55歳の精神科医で、上から28歳♀、21歳♀、12歳♂、5歳♂という4人の子供の父親だ。なおかつ、その4人の子供の母親が全員違う!!!!!。またまたその上に、一番上の28歳の娘には、すでに3歳♂がいる。それぞれと結婚をして子供をもうけたのか否かは、現在のところわからないが、とりあえずすべての母親とは別居している。

 彼は救急の精神科医をしているので、突然発狂した人から電話がかかってくると、現場に急行して患者の精神ケアをしてくるというのが主な仕事。というわけで、その急用うえに、たまたま別居している母親から、子供を預かっている日などに、仕事がはいるとその子供の年齢により、支障の具合が違ってくるというわけだ。

 で、もちろん子守が一番必要なのは、5歳の♂のH。たまたま休暇を取っていた夫と一緒に、彼のアパルトマンに暇つぶしながら出かけていった。しばらく彼と話した後、彼は現場へ。

 45分ほどで戻ってくるということだったが、結局彼が戻ってきたのは2時間半後。すっかり5歳児のパワーに振り回された気がしてならない。もともと友人だし、彼にも色々やってもらっているのでボランティアで出向いたとはいえ、これを低賃金で仕事にしている人のことを考えると、なんと重労働なことかっ!!!!!!!。

 Hはとってもかわいい。でも、その疲れを知らないパワーというものが、一人っ子で育ち、なおかつ親戚の同い年の人が、すべて女性という家庭で育ってきたものにとっては、事実、強烈な違和感がある。

 でも、さすがに1時間一緒にいると、Hの趣向もわかってくるので、てきとうに自分が無理しないようにあしらう一方、彼の豊富な蔵書に目をやり、面白そうな本を抜粋して、そのあと読書。

 天才と狂気という主題で書かれている本が数冊あったので、それぞれの著者がどのようにピアニストだったグレン・グールドについて言及しているか調べてみたが、そんなにハッとするように新鮮なことが書いてなかったので、ちょっとガックリ。とはいえ、すべての著者がまぎれもなくグールドの名前を挙げていること自体に興味を覚えた。やっぱり、彼のような存在は、精神科医にとっては、どうしようもなく興味が挽かれるものなのだろうか?。
 
 子供のことなんかまったく放っておいたまま、サンボリスムの研究などといいはり、自分の世界に没頭していう夫に対して、時々癪にさわりながらも、尽きることのないHのエネルギーと格闘していた。

 で、ようやく家の主が戻ってきた。

 そのあとは、日本酒を酌み交わして、3人で様々なことを議論。お燗用の酒を嬉しそうに冷酒にしている彼には、ちょっとビックリしたものの、フランス人なんだから、なんでもあり。そのうち、彼が出会った様々な患者たちの話になった。

 近年、彼が現場に駆けつけてみると、かなりの確率で日本人、それも大多数が女性にお目にかかることがふえているとのこと。最近では、彼が駆けつけたときには、今にも窓から投身自殺せん!!!!、としている若い日本人女性の姿があったそうだ。原因は失恋。日本からわざわざフランスまで追いかけてきて、なんとか彼とラブラブな日々を過ごしたものの、それも長く続かず・・・。挙句の果てに、学生ビザゆえに満足に働くこともでず・・・。

 ま、よく耳にする話とはいえ、その現場にかけつけた医師本人からそれを耳にすると、あらためて、ちょっとビックリ。

 以前、パリ在住の日本人精神科医の太田氏という方が「パリ症候群」なる本を出版したいたけれど、まさにそれそのまま、あるいはそれ以上?!?!?!、というような感じすらした。

 そんな中、友人の精神科医のほうは、日本人向けに特別なサービスを開始したいという。いうなれば、日本人用救急システムらしいが、その企画に私にもよければ参加してほしいらしい。

 どうなることやら。

 でもフランス人の話だから、もう少し話が進展するまでは本気になって話を聞かないほうがいいに決まっている、と私は習慣から学んでいるゆえ。


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