だから猫が飼いたいのに・・

2006年02月21日(火) 読書「知事のセクハラ 私の闘い」

「知事のセクハラ 私の闘い」 田中萌子 角川oneテーマ21 A-8

先日読んだ「誤読日記」で唯一「読んだほうがいい」と記されていた図書で
この事件も記憶に残っているし、気になるので読んでみました。

本当に読んでおいたほうがいいと思いました。

まずこの事件があったときに、マスコミを通して見聞きする限り
被害にあった著者のほうが悪いような風潮がありました。
実際、こういうセクハラ、女性が被害者になる事件の場合
「落ち度」を吟味される世の中ですし
選挙中の出来事でもあり、彼女に味方する論調は少なかったという印象です。

私自身、彼女が嘘をついてるとか、そこまで思考していませんでしたが
まず選挙に出る、選挙宣伝カーの中で、セクハラするような
恥知らずがいると思わなかったという認識です。
本当に、本当に、クリーンなイメージが大事だろうし、いろんな人に支持してもらいたい
と思っている人が、まさか・・と思ってしまいました。
でも、そんな信じられない人が世の中にはいるんだと裁判の過程でこちらも知るところになるわけです。
改めてマスコミとか雰囲気で考えを偏らせてはいけないなと思うのです。

有名作家が、後で訴えるなら、その時に叫べばよかった〜とか新聞に書いてしまうのですが
自分がそんな目にあったことないから、わからないのかな。チカンにもあったことないのかな。
それかかなり強い人なのかもしれないですね。
若い女性が、そんな老人に触られて声を出せる人のほうが少ないと思う。
若い女性でなくても、セクハラでなくても、力のある男性が理不尽なことをしても
それに意義を唱えられる人のほうが少数派なんですよ。経験上わかるけど。
私は抗議、意義申し立てで危ない目に合うタイプですが
周囲の女性はみな我慢しているタイプだった。
日本で男性に抗議するとか、年上に意義を申し立てるとか、そういう事を教わってない。
本当にできないんだと思う。

絵本で、いやな事をされたら、NOといおう!と書いてある本があって
こういう絵本がどんどん子どもに広まればいいと思ったけど
まだまだ少数派だろうと思います。

そしてこの事件では、見知らぬ人でもなく、雇い主になるわけですよね。
そんな反射的に反撃できるほうが、珍しいと思うし
いい大人なんだから、一度拒否したら、察してくれると思うよね。

まあ、その有名作家もどんなひどいセクハラか知らなかったのかもしれないけど
知らないのに、あれこれ書いてはいけないのよね。
そういう私もこの本の情報しか知らないのですが
裁判の結果があるんだから、もうその辺はいいですよね。


でも、どんな人でも雇われている側なら、
そしてこの本を読んで、改めて、本当に人って怖いなと思うのです。

マスコミだけが怖いのでも、セクハラした知事だけが怖いのではありません。
周囲の人間全てが怖いんです。

著者の父親が一番怖かったかも。
家族のように親しかった隣人の態度も、仕方ないんだろうなと思うけど
人は自分を守るためなら、人を裏切るなんて平気なんだな〜と
何も変わらない平和な、当たり前の日常はこんなに簡単に壊れてしまうのだと
実際にこの本を読んで、自分ならどうするのかといろいろ考えてしまいました。

新聞などマスコミが必ずしも本当のことを書いているのではないと
わかっていても、そして身近な人もわかってくれないというのは本当に恐ろしいことです。

セクハラとタイトルにもあるし、確かにセクハラなのでしょうが
セクハラという言葉では軽い気がします。

yahoo!辞書で検索してみた。
大辞林 で検索した結果を表示しています。
セクシャル-ハラスメント 6 [sexual harassment]
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労働や教育など、公的な文脈における社会関係において、他者を性的対象物におとしめるような行為を為すこと。特に、労働の場において、女性に対して、女性が望んでいない性的意味合いをもつ行為を、男性が行うこと。性的いやがらせ。性的脅迫。
--------------------------------------------------------------------------------
[ 大辞林 提供:三省堂 ]

確かに言葉の意味はあっているし、セクハラしたんだろうけど
裁判に訴えたその過程で父親と絶縁(学費も打ち切り)、親しい人たちを失い、
大学を辞める羽目にもなり健康も失い人生の危機に陥ったわけです。
著者が自分自身を愛し、たまたま良いサポートに恵まれたからよかったものの。
人の一人の人生を台無しにするところだったんですよ。
こんな人が知事になっていたことがあるなんて・・あきれてものが言えません。
人を楽しませる笑わせる仕事についていたのも皮肉ですよね。
セクハラというだけでは足りない気がしました。

裁判結果で、老境の加害者の現状を配慮したものでしたが老人なんですよね。
老人を敬い、大切にしたいと思っていますが
敬い、大切にしたい老人もそんなにいない気がします。
裁判長が情状酌量を引き出すための質問の答えを聞く限り、情状酌量ももったいない感じですし。
巻末の「ヘタレ裁判官」に集約されています。

裁判で得た賠償金の分配をどうするか、その行き先を公表する話の中で
「世間を騒がしたのだから公表しないと」といわれたという部分があるのですが
彼女は被害者なのに、世間を騒がせた人になっているのです。
「私は被害者に生まれてきたわけじゃない。被害者として生きるつもりもない。
たまたま被害にあっただけだ。」
彼女のような被害者がこう叫ぶ事がない世の中になればいいと思いました。

著者は論文が得意ということで、非常に読みやすく、じっとりした雰囲気もないので
読後感は悪くないです。おすすめです。


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