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No-Mark Stall *




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おんなのこのなやみ。 | 2008年12月24日(水)
リズ・メイは自分の髪の色があまり好きではなかった。真っ赤な髪。
にんじんと呼ばれるような愛らしい赤茶色ならどれほど良かっただろうかと、血を連想させるような鮮やかな赤をした自分の髪を指先に絡めて溜息をつく。手入れを怠っていたせいか、その拍子に幾つか枝毛を見つけてしまって更にその溜息は深くなった。
目立つその髪色が羨ましいと友人に言われたこともある。染めても出せないこの色は、確かによく人目を引いた。けれどもその髪にそぐわない、印象がぼやけた平凡な顔立ちを見て、大概の男は何事もなかったかのように視線を逸らせるのだ。それならばいっそ目立たぬ髪をして初めから気づかれない方がよほど良いとリズ・メイは思うのだけれど、その友人は目を向けてもらえるだけでもいいじゃない、と彼女の愚痴を非難した。
「いっそのこと染めてしまいたいわ」
溜息は止まらない。リズ・メイは何度か髪を染めたいと両親に訴えたこともあるが、その髪の色は間違いなく一族の証であるのだから、染めるなんてとんでもないと怒られてしまった。従妹もやはり同じような色、それもリズ・メイよりもよほど鮮やかな赤色をしていたが、彼女はそれに負けないだけの美しい容貌も持ち合わせていた。彼女は彼女でそれ以外に問題を持ち合わせていたが、彼女が社交界に姿を現した日には、花の妖精と讃えられている侯爵令嬢とて顔色を無くすことだろう。
リズ・メイの知る中でもっとも美しい娘は自分の従妹だった。くるくると軽やかに渦を巻く赤い髪を背に流し、琥珀にも似た最上級の紅茶の色をした瞳を輝かせて楽しげに笑う可愛い従妹。
誰もが好きにならずにはいられない彼女に嫉妬を覚えたこともあったが、無邪気に彼女を姉と慕う従妹を、リズ・メイはどうしても嫌うことが出来なかった。

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年々文章がくどくなっている気がする。
written by MitukiHome
since 2002.03.30