日々妄想
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2010年11月28日(日) 更新 別館アビス 裏

昨日更新しました。というか、別名義サイトでも同じのをあげています。
今月こちらを更新しないままだったので、つい…
あっちはえろすオンリーなので、こっちに持ってくるのは勇気が入ります。
私のえろすは色々変態すぎる。


先走りマイソロ3妄想

そして俺達は旅に出る アッシュ編

一礼して部屋に足を踏み入れたガイに、憮然とした面持ちのアッシュの鋭い叱責が飛んできた。
「遅い!」
「申し訳ございません、アッシュ様」
頭を下げて謝罪を口にするガイに、ますます眉間の皺を深く刻む。
「呼び捨てにするように言ったはずだ。はっ、身分を伏せて旅をするのに、今からお前がそんな調子じゃ先が思いやられるな」
目の前の王子の地雷はそこかしこに埋まっていて、うっかり踏んでしまえば毒が混じった叱責がすかさず飛んでくる。如才なく立ち回れるガイでさえ、アッシュの扱いにはかなり手を焼かせてもらっている。
大人しく、はいはい、と流せばいいと理性では認識している。だが、思わず反論をしたくなる衝動を抑えきれないでいる。
ルークの時は、さらりと流せることも、アッシュ相手だとつい引っ掛かりを感じ、嫌味で返したくなる。
「……ですが、今は城内です」
そのガイの精一杯の反抗をフンと鼻で笑う。
「屁理屈を抜かすな」
「……アッシュ、人目があるんだよ。こっちは悲しい宮仕えなんでね。隙あらば足を引っ張ってやろうと手ぐすね引いているような連中ばかりだ」
はあっとガイはみよがしな溜息と共に、アッシュが望むような砕けた口調で本音を零す。
王子の前で溜息つく行為だけでも不敬と騒ぎ立てられる城内だ、慎重にならざるを得ないのもわかってほしい。そうガイが胸の内だけで愚痴る。
「そこで足を引っ張られるなら、お前はそれだけの器だという事だ」
「手厳しいねえ」
やれやれとまた溢れる溜息と共に肩を竦める。そしてガイは毎度このやり取りに困惑する。
共に旅をすると命が下った後、ガイは頻繁にアッシュの私室へ呼び出される事となった。
ある時は「俺はあいつと違って甘くねえからな」と延々ルークとの違いを一方的に話され、ガイの我慢がブチ切れそうになるくらいにルークをけなしてみせたり。
ある時は「お前が俺の護衛として相応しいか判断する」と一方的に剣の勝負やら、一般教養問題を解くように命じてみたり。
最近のアッシュのブームは「タメ口」にあるらしく、ガイに執拗に「タメ口で話せ」と強要する。
愛想など微塵もなく眉間に深く皺を刻み、いつも憮然とした面持ちで腕を組んでいる相手にタメ口で話すのは、ガイにとって相手が王子というだけでなくかなり気の重い事だ。
ルークやガイの失態に口の端を皮肉げにあげ微笑う事はあっても、普通に笑った顔など見せてくれた事もない。
一使用人をネチネチとイビッて何が楽しいのかさっぱりだが、アッシュ付きのメイドから「ガイが顔を出すようになってアッシュ様の機嫌が凄くいいのよ」と感謝された事を考えるに、少なくとも憂さ晴らしの相手にはなっているらしい。
旅先でもこんな調子なのかねえ、とそっと溜息をつく。


「あいつ、旅の支度を自分でするって宣言したらしいがもう終わったのか」
アッシュがあいつ、と指すのはルークの事だ。
「まあ、なんとか、な」
俺が手伝ったのは内緒だな、と思うガイの胸の内を読んだように
「どうせお前が全部やったんだろ」と皮肉交じりに吐き捨てられる。
メイドが運んできた紅茶を口に運びながら、ガイは「ジェイドといい、アッシュといい。俺の行動はそんなに分かりやすいのか」と内心でがっくり肩を落とした。
「まあ、ルーク様も必要に迫られればこなしていきますよ」
「おいっ!」
「あ、…わりい。気を抜くとすぐこれだな」
後ろ髪を掻いて苦笑いをするガイに、アッシュは眉を顰める。
俺相手に気が抜けると、あの口調になるって事か。
ズキリと胸の奥が痛む。

いつでも両親は俺達を平等に扱ってきた。常に同じ物を等しく与えてきてくれた。
だけど、世の中、一つしかないものはある。
それは、王冠であったり。
そして、それは。
昔の情景が蘇る。
ルークが「父上、ガイを俺付きにしてください」と上申しているのをみて、僅かに遅れて負けじと「父上、私もガイのような年の近いものを傍に仕えさせたいと考えております」と乞うた。
父の手はルークの頭上に置かれ、ガイはその日からあいつ専任になった。
一つしかないものは、全てあいつのものになるのだ。
そのくせその僥倖にひとつも気づいておらず、ただ享受するだけ。

「今度気ぃ抜いたらおぼえておけよ」
「物騒だな。何する気だ」
理不尽な事をまた言われるのかと、思わず身構えるガイの後頭部に指を差し入れると、ぐいっと引き寄せて唇を重ねる。
すぐさま離すと、常と変わらない不機嫌な顔で
「唇を塞ぐ」と答えた。
一瞬の出来事は現実感を伴わず、「え、あ、え?」と目を瞬かせるガイの様子に、初めて柔らかく笑ってみせた。




はじめてまともなアッシュガイを書いた、と思います。
毎回アッシュが不憫なので申し訳ない。


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