日々妄想
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2004年10月09日(土) 三藤デーなので一本 日記にあげました(泣)

なんですか、ジオがすごいことになっているのに今気づきました。
今日これを仕上げないとイヤなので日記にUP
ちなみにこれは去年10月は一日三藤と無謀な計画をたて、案の定ダメダメになったものです。その部屋は期間限定だったので、どのページにもありませんが、今日書いたものが、それの一応続きみたいなものですから…
恥ずかしながらここにリンクしておきます。読まれてから読むのもいいですし、スルーして読まれてもいいかと思われます。
では、皆さん、よい三藤を〜
(ジオどうしよう…)

去年の駄作

「再会」

年を重ねていく事で失ったものがある。
年を重ねていく事で得たものがある。

得たものはなんだろう。
失ったものは……
そこで思考を停止する。過去を振り返るときに必ずといっていい程
忘れようとしたあの顔がいつも鮮明に蘇ってくるから。


「今度の連休どうするの?」
ケイタイから聞こえてくる甘い声色。
容姿も肢体も性格さえも申し分なく俺にあう女。
つまり顔と身体は最高で、性格が最低という女だ。
「仕事が入ってる。お前もどうせどこか行くんだろ」
軽い含み笑いをして、肯定の言葉を述べる。
「恋人」としての最低限のマナーを執り行っているだけの会話。
だからこそ、この女とは長くやっていられる。
他人に対してなんら心動かされない俺たちは、互いを様々な煩わしさから
守るために「恋人」でいる。
それでいい。


またケイタイが鳴り出す。
みると覚えの無い番号。
普段なら出ないのに、先に身体が動いた。
「はい」
すると、聞き覚えのある、そしてもう聞くことはないだろうと思っていたあの声が
受話器から大音声で聞こえてきた。
「やったあああああ、先輩だ――――」
思わずケイタイを耳から軽く離す。
なぜこの時電源を切らなかったのだろう、一年ぶりのあの声をまだ聞いていたかったのかもしれない。
「お久しぶりです、先輩―――」
興奮が収まらない様子なのは、顔が見えなくても伝わってくる。
バカみたいに先輩先輩と連呼している。
「うるせーよ、落ち着けよ、藤代」
「ハイ、ハイ、そうなんですけどね、やっぱうれしいんですよー、やったー」
飛び上がらんばかりの勢いだ。実際は跳ね回っているのかもしれない。
「ちゅーか、どうしてケイタイ勝手に変えたんですか、オレに連絡くれなかったでしょ」
「ああ、悪い。あの日ケイタイを落としてメモリーがダメになってな」
「でも解約する事ないんじゃないですか」
「丁度イタ電が多くてな」
すらすらと嘘が出てくる。
年を重ねる事でうまくなったのは、嘘を重ねていく事になんら抵抗がなくなっていくこと。
ふと腰掛けているソファのそばの姿見にうつる自分をみる。
嘘をつくことに、なんの引け目も感じていない顔。

「オレから離れたかった?」
いきなり声のトーンが落ちて、藤代が尋ねる。
その言葉に、鏡の中のオレはみっともない事に、顔に動揺がへばりついている。
でも声色にはださずに
「いや、藤代。悪い偶然が重なっただけだ」
「また二三日すれば、悪い偶然が重なってこの電話は繋がらなくなるんでしょ」
何も答えずに、オレは空いた手でグラスを傾けた。
時間にしては少しの沈黙だったのかもしれないが、次の藤代の言葉がずいぶん長く感じられた。

「オレはね、大丈夫。悪い偶然が重なっていっても絶対大丈夫。また三上先輩に追いつく」
まるで自分に言い聞かせるようにして、藤代は大丈夫と何度も言う。
「大丈夫だから、まだ先輩がオレに向き合いたくないなら逃げていいよ。でも絶対に…」
向き合えばきっと傷つけあう事になる。
子供の頃のように、ただ「好き」という感情だけでは動けないところまで来てしまった。
心の奥底にある、ただ毎日ガムシャラに何かと戦って、学校とグランドだけが全世界だった
あの頃の自分は、一番の恥部でもあり一番の誇りでもある。
他人を貶めて、他人に認めてもらいたくて、他人に認められなくて、あまりに幼稚で純粋で。

藤代は、何も答えないオレに構わず言葉を続ける。
「三上先輩はオレよりも頭いいから、すごく色々考えているんだと思う。
オレはサッカーしかしてこなかったから、ほら、前もよく怒られたけど常識ってのが
すっぽり抜け落ちているのかもしれない。
でも、頭悪いなりに、この一年色々考えて決心したから先輩に電話した」
すうっと息を吸うと、一呼吸おいて

「オレ、先輩が好きです。中学ん時から好きです。キスがどーのとかいう前から好きです。
そしてずっとずっと今でも好きです」
今の鏡のオレは、藤代と共にいた頃と同じ表情をしている。
「オレはもう変わった。お前が好きなのは昔のオレだろう」
「じゃ、オレと会ってください、この前みたいな立ち話じゃなくてちゃんと会ってください。
その変わったっていう先輩を色々見せてください。そうじゃなきゃフェアじゃない」
何がアンフェアだ。勝手に告白しておいてその言い草。その変わってなさが…オレの心を沸き立たせる。
鏡の中の自分をみると悔しいが、なぜか嬉しそうな顔で笑っている。
こんな表情は久しぶりだ。

「じゃ、今度の連休空いているなら、どこかで会おう」
「マジっすか?やった―――」
さっきまでのシリアスな口調とは打って変わって、子供のようにはしゃいでいる。
「今からはどうです?先輩がまたアレコレなやんで、約束破られたらたまんないから」
「今からって、オレ自宅だぞ」
と同時にピンポーンと軽快な音が部屋に響く。
まさかこいつ…
慌てて玄関を開けると、思った顔がそこにあった。
ケイタイを持って、目が何故か少し赤くて潤んでいて、でもあの時のようにバカみたいに笑っていて
藤代が立っていた。
オレもあの時のように、皮肉な笑顔を顔に貼り付けて部屋に招き入れる。

何が起こるのかわからない。
傷つけあって終わるのかもしれない。
でも、もしかしたら、夢のような事かもしれないが、心の底から笑える日々が待っているのかもしれない。
まだ何もわからない、スタートはこれから。


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