住民基本台帳ネットワークシステムが本日付で始動した。 個人情報保護法案の腹いせとでもいうのか、マスコミは一部紙を除いてのきなみ反対の論陣だ。 プライバシー権を楯にして、住基ネットそのものの存在を否定するかの論調も目につくが、これはあまりにも乱暴な議論だと思う。 わたしは、プライバシー権といえども、無制約の自由であるわけもなく、国家の機能として、国民を管理するのはある程度やむを得ないことだと考える。 電子政府化が嘱望される中、このことはなおさらだとさえ言える。
憲法13条を根拠とするプライバシー権は「自己の情報をコントロールする権利」として定義されるが、住基ネット法の問題で重要なのは、このプライバシー権がいかにして保証されるかということである。 住基ネット法案の審議中から、小渕総理が、個人情報保護法案を前提とすると答弁していた趣旨は、まさにこのことに尽きる。 実際、一部市町村では、独自に個人情報保護条例を施行して、プライバシー権を担保しているところもある。 行政は、なにもプライバシー権を侵害したくて住基ネットを施行しているのではなく、行政サービスの効率化という観点からこれを実行に移しているのである。 行政改革が叫ばれる中、行政の効率化という流れに抗いようがないものとすれば、わたしたちが感心を払うべきは、個人情報保護法、条例の制定に向けて後押しの声を発することだろう。
この留保を付けた上で、条件整備が整っていない現段階での住基ネット始動は勇み足だったように思う。
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