戯言、もしくは、悪あがき。
散る散るミチル
ミチルは果てた
充電切れたら
今夜も寝逃げ

2015年10月13日(火) 居合わせる

たまたま居合わせたひとたちが
その場所で
たまたま持ってしまったたくさんの感情を
とまどいながら
でもどこかうれしそうに
共有しているさまが好きだ

本音かもしれないし
本音じゃないかもしれない
それはどうでもよくて
みんな笑ってて
ときどき真剣な目をしたり
涙ぐんだり
ぼんやりとしたり
にじみだしてしまうもの
ここにあるもの

たしかに本物だと思えること
ここにいるわたしが
たしかに本物だと思えること

たくさんのうつわ
たくさんのうつわを満たすたくさんのみず
さまざまな時の溶け込んだ
さまざまな色のみず

あらゆるうつわが透明であればと
願ったこともあった
けれど
満たすみずの色彩と
まもるうつわの色彩と
ふたつがまじりあって
そのひとの色彩なんだろう
うつわと
みずと
そして
外から来る無数の光が
うつわにあたってきらきらとして
反射して
最後の色を添える
そういうとき
たまたま居合わせたうつわの色は
同じフィルターを透かして見える
べつのべつの色にすこしだけ
おなじ紗がかかる
時を過ごすというのは
つまりはそういうこと
まじりあうでもなく
ただ
おなじ額縁の中に
焼き付けられる
その額縁のかたちも
紗の色も
ひとりでは決して
みることができないもの


きれいな景色や心躍るような体験も
握り締めるほど零れ落ちてしまう
指と指の隙間から逃げて
地面に落ちてまざってしまう
そのことを
どこかでむなしく
どこかで申し訳なく
思っていた
持って行けない景色を
いただく資格があるだろうかと

けれど
指をすり抜けて落ちていった砂は
無数の砂とまじり合いながら
けれどその鮮やかな色を
きちんと残していて
私の足元に
うつくしい地図を描くのじゃないか
それは
普段は見えないかもしれない
けれど
深く呼吸をして遠い空を見つめたときに
うすく まるで透かし絵みたいに
向こう側にうつるのじゃないか
それがきらきらと降り注いで
説明の付かないような1日の終わりに
目の奥に反射して世界中が
まるでふるえるみたいに輝いて
生きていることや
生きていけることや
生きてしまえることを
思い出させてくれる

だから私はきらきらを
こぼすことを
もう
恐れなくていいんだと
思った



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