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■駅前人生センチメンタル
2008年03月18日(火)
日曜日、プリキュアショーが終わり、電車で帰った僕ら。

駅から家まで歩く途中、息子・タク(2才)は嫁が転がすベビーカーの中で眠ってしまった。一方娘・R(4才)は元気で

「パパ、かけっこしよ」

駅前の通りの歩道を走り始めた。僕はRの少し後ろを

「ぬはははは待てー。おじさんと遊ぼうよおおおお」

親子じゃなかったら逮捕されそうな追走をしていたところ

変な自転車変な自転車
なんだあれは。超あやしげな自転車(?)が車道を悠々と走り、僕らを追い抜いていった。僕は野次馬根性丸出しで猛ダッシュしデジカメで撮っちゃった。

あんなリヤカーを引っ張っているような自転車、幅があり過ぎて歩道は走れないとはいえ、ああも堂々と車道を走っていいのだろうか。車の邪魔だろう…と遠ざかるその自転車を見送っていたら

「パーパー!おいてかないでえええええ」

自転車を追いかけるのに夢中で、いつの間にかRを遠く引き離してしまっていた。といっても15メートルぐらいなのだが引き返して「ごめんな」と謝った。許せ娘よ。パパはな、変なものを見つけるとすぐ写真撮ってネットに載せるクセがあるんだあ…。

「じゃ、もっかいかけっこしよ」

「えーまだやるのか」

「よーいどん!」

Rは僕のやる気のなさを無視し、また走って行った。もう僕に追い抜かれないよう気合が入りまくりで全速力。しかしこれが災いして僕の目の前ですぺぺんと思いっきり大ゴケをかまし

「ぶわああああ!痛いよう〜」

と泣いた。

「だから言ったろう…。お前の人生という道のりはまだ始まったばかり。こけることもあるさ」

転んでも砂を掴んで立ち上がるんだよ、と起こしてやった。

「おひざが痛いよう」

膝を見てみると、わずかに擦り剥いていた。

「大丈夫。ツバつけときゃ治るよ」

ぺろっと塗ってやると

「しみるよう〜うわああん」

とまた泣く。

「人生という長い道のり、心に染みることもあるさ。ほら、おんぶしてやるから」

よいしょとRをおぶり、人生という長い道のり、いつまでこうして一緒に歩いて行けるのかな…センチメンタルな気分になりながら帰ろうとしたら、既に嫁の姿はなかった。僕らの戯れに付き合えずとっとと先に帰ってしまったようだ。

よ、嫁とは一緒に人生の道のりを歩けないのか…不吉な暗示に思えて背筋が寒く。センチメンタルどころかはぐれメタルになってしまった。駅前に取り残された僕らは、同じく駅前の自転車のようではないか。

すなわちどちらも放置である。

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