街の定食屋はいい。
チェーン店の紋切り型サービスではなく、その店にしかない独特の雰囲気を味わえる。時には大ハズレを引くこともあるが、それはそれで面白いアドベンチャーである。
今日は娘・R(4才)と息子・タク(2才)をちょっと遠い公園で遊ばせたため、そこから最寄の街・板橋区の大山という普段あまり行かないところで昼飯を食って行くべということになった。
大山は大きな商店街がある賑わった街。きっと良い定食屋もたくさんあるだろうと目論んでのことである。しかし大山といえば「のぶ代」ぐらいの知識しかない僕らにとって、この街は完全にアウェー。簡単には見付からず暫くうろつくこととなった。
「この街はアウェー…」
と呟いて探しているとタクが
「うぇーぃ」
風化しかかった小島よしおのモノマネを…悔しいがおもろいなお前。ようやくよさげなオーラが漂う定食屋を見付け、入ってみると20席ほどのこぢんまりとした空間があった。BGMはなく、先客たちのポツポツとした会話と、先頭集団から脱落し始めた高橋尚子を映しているテレビのみが音を発していた。
店を切り盛りしているのは若いご夫婦ふたり。まったりとした空気が漂い、なかなか良き定食屋の雰囲気である。
ひとつ「おや?」と思ったのがベビーチェアにちょこんと座っている女の子の赤ちゃん。お店のご夫婦の赤ちゃんなのであった。話を聞くと土日は保育園が休みなので…とのこと。モモちゃんという名前らしい。
僕らが席に着くと、モモちゃんがタクに向かって手を伸ばしていた。その仕草が可愛くてこちらも構わずにはおれない。
「タクと握手したがってるんじゃないか?」
とタクの手を引いてモモちゃんのところまで行くと
「こんにちは、ぼく、たっくんです。にさいです。よろひくね」

タク、自己紹介の後モモちゃんと握手。
「モモちゃんはいくつかな?」
と僕が聞くと横から奥さんが「9ヶ月です」とのこと。大人しくて良い子だ。握手し合うふたりを残して僕は席に戻り、その姿を「いいなあ…」と遠巻きに眺めていると
「なんで置いてくるのよ」
と嫁が突っかかってきた。
「いや、後は若いふたりに任せて…と思って」
「お見合いか」
この様子を見ていたRが
「Rちゃんもあくしゅする!」
と席を降りてモモちゃんの元へ行ってしまい、Rとタクが交互に話しかけていた。なんだか陽だまりで子猫たちがモフモフじゃれ合ってるような、これもまたまったりとした雰囲気。
肝心なゴハンも美味しく、Rもタクも呪われたように食べる食べる。会計の際にご主人に、お父さんそっくりですねと言うと
「いやあ、よく言われます」
半熟卵のオムライスのように崩た笑顔を見せた。僕も今まであんな顔をして答えていたのだろうか。
店を出るとモモちゃんと奥さんが手を振っていた。Rとタクも振り返した。やはり定食屋はいい。更にここが良かったのは、奥さんが美人なことである。ママさんではあるが看板娘と言ってしまいたい。定食屋の美しいひと。
これを定食兼備といいます。
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