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うちには「ぼくはくま」のぬいぐるみがあるのだが、今日、半ドンの仕事から帰って来たら

無残な姿になって発見された。
熊の顔に落書きがー!熊にくまどり、ってやかましいわ。胸にまで落書きされて胸毛のように。熊に胸毛ってなんかイヤである。熊系男の胸毛を彷彿させ、淫乱テディベアみたいなホモビデオを思い出してしまう。
「えっ気が付かなかった。いつの間に…」
嫁は犯行の現場を目撃していないという。息子・タク(2才)は昼寝中。娘・R(4才)を見てみると顔と手に落書きと同じ色の汚れが付きまくっていた。
犯人は分かりやすいほど明らかである。サスペンスドラマに出てくる萩原流行ぐらいに明らかである。しかし敢えて
「これやったの誰?」
とRに詰め寄ってみたところ
「たっくん(タク:2才の息子)」
Rは速攻弟に罪をなすりつけた。Rのウソはすぐ分かる。目を合わせようとしない。
「Rちゃん、君でしょ」
「ちがうっ!たっくん!」
「お顔と手にペンの色が付きまくってるよ…」
「…ごめんなさーい」
Rはあっさりと観念した。
「どうしてそんなことをするの」
「パパ怒らないでっ」
Rは既に半ベソ。
「パパは落書きしたことを怒ってるんじゃない…ウソついてタクのせいにするのはいけません!」
「…」
「で、なんで落書きしたの?」
「熊ちゃんはケガしたの。それでRちゃんが治してあげてたのよ」
この落書きはケガだったのか。Rのお医者さんごっこのためにこの熊はケガだらけにされたようだ。ケガを治したいからケガだらけにする。なんというマッチポンプ。医者とはそういうものではない。
「人間が生き物の生き死にを自由にしようなんておこがましいとは思わんかね…」
ブラック・ジャックの名台詞をRに説き聞かせると、訳が分からなかったようでプイと隣の部屋に逃げて行ってしまった。怒られて拗ねてしまったのかな…とそーっと覗いてみると…
姿見で汚れた自分の顔をじーっと眺めていた。やっぱり女の子だなあ。
「な、お顔が汚れちゃってるだろう」
後ろから声をかけるとRはハッとして振り向いて僕に抱きついてきた。
「パパ、ポリリズム(Perfumeの曲のPV)見たい〜」
おのれ、甘えることで今までのお説教モードをリセットしようとする試みか。そういうところはホントに上手いなあ…。
熊を犠牲にした小あ熊。
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