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■人情がスーパーなマーケット。
2005年07月03日(日)
嫁が歯石が溜まっているとのことで歯医者に行ってしまった
ので、その間僕が娘・R(1才半)の面倒を見ていた。

僕も溜まってるんだけどなあ。歯石じゃない、迸りそうな熱くて
白い何かが。

それとは逆に家の烏龍茶は切れていたので、Rを連れてスーパーに
買出しに行った。スーパーなんて1年に3度ぐらいしか行かないが、
嫁がいないのでしょうがない。

「●●スーパーだったら2リットルのやつが2本で300円よ!」

という子供の使い並の指示を嫁から受け、やって来た次第。

慣れないスーパーでも、最近のRは手を繋がなくても僕の後をチョコ
チョコと付いて来るので助かる。万引きもしないし(してたまるか)、
ただお菓子やガムなどの細かい商品が詰まった陳列棚を見ると、
ガサゴソと荒らし始めるのでそれだけ注意していればよい。

買いたい物だけとっとと選んでレジに並ぶと、ものすごく寂びれた
パートのおばさんが

「…315円です」

とだけ言った。伊東四朗がそのままおばさん化したようなルックスの彼女は、
目が死にまくってるし、声も岸田今日子みたいにしゃがれてるし、接客と言う
よりもただ機械的に動いてるだけの状態に見えた。

彼女から漂ってくる朽果て感に当てられて、とても悲しい気分になった僕は
早く烏龍茶を受け取って帰ろうと思った。しかしこの時伊東四朗おばさんが
動いた。

レジカウンターからさっと消えたかと思うと、サザエさんのイラストが描かれた
コーラのおまけか何かのビニールバッグを持って来て、Rの肩にそっとかけて
くれたのであった。

「あっ!ありがとうございます…」

伊東四朗おばさんはにっと笑ってRに手を振った。ああ、彼女は機械で
なくて人間であったよ。人情っていいなあ。ありがとう伊東おばさん。
また来るよ。また会えたらいいね。おばさんのことはベンジャミンと
呼ぶことにするよ。

Rはこれをえらく気に入って、ずーっと肩にかけて遊んでいた。
やがて歯医者から帰って来た嫁に見せてみると

「えー。サザエさん?なんかやだなあ」

と何故か気に入らない様子。そんな文句言うなよ。これはなあ、
ベンジャミンが僕とRだけに見せてくれた笑顔の証なんだよ!

スーパーのレジで味わった、人情エレジー。
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今日もアリガトウゴザイマシタ。

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