嫁とふたりで寝ていると、
「最近あなたがどんどん私の方に迫って来るのよ。お陰で私は
布団の隅に追いやられてギューギューになって寝てるのよ」
僕の寝相が悪いという苦情を言われてしまった。いつも悪いと
言うのなら分かるが、ここ最近そうなっているという。
原因は言わずもがな。
「無意識に女体を求めているのだろうよ」
嫁が妊娠中で安定期前なので、現在夫婦のウッフンはご法度。
嫁も不安定なら僕も不安定。特に今回は何度か出血してしまって
いるので厳戒態勢なのである。僕もこのところ特に自制をしている
のだが正直暴動寸前で、寝ている間もどうしてもまぐわいを
求めているようである。
僕は嫁に抱きついて溜息を付く。
「やっちゃダメよ!」
「分かってるよ。はあ〜。まぐわいまぐわいまぐわい…」
「あなた、うるさい!」
「言うだけなら害はないだろう?堪えているのだ…」
「まあいいけど…。でも、きっとお腹の子にも聞こえてるよ」
しまった!胎児はお腹の中にいることから外の物音が聞こえている
という…。僕の恥ずかしい魂の叫びを聞かれてしまったのか…。
僕は嫁の腹をさすってみた。まだ目立たないが確かに新たな命の
膨らみがあった。
「我が子よ…君が男の子だったら、あと15年もすればこの気持ちが
分かるだろうよ」
「分からなくていいわよ!」
我が子に優しく語りかけたのに怒られてしまった。
胎教したつもりが嫁の説教に。
「はあ〜。まぐわいまぐわい…」
「お願い、寝かせて…」
こうして今夜も何とかしのいでいく、やりたい盛りの僕…。
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