僕は美少女を探している。
以前近所のゲーセンで働いていたRちゃん。
我が人生の中で最強の美少女であり、スタイルも悩ましいほど良い。
ふたつの胸のふくらみは、何でも出来る証拠であった。
お化粧なんかはしなくても僕はRちゃんにもう夢中。
真珠の涙を浮かべたらおじさんなんてイチコロよーん。
という風に出会った当初から魂を奪われっぱなしである。
ところが色々と紆余曲折があり、現在では音信不通。
どこにいるか分からないしメールは届かないし、
電話しても必ず留守電になってしまう。
何故かは分からないが、僕は避けられているのだ。
僕からの着信は留守電に回される設定になっているに違いない…。
とは思いつつも、もしかしたら今度は出てくれるかもしれない…
と一縷の望みにすがり、何度も携帯を手にしながら、その都度、
「こんな風にしつこいからストーカー扱いされてるんじゃ
ないだろうか」
とウジウジ悩んで躊躇してきた。
しかし今日、かけてみた。最後にかけてからだいぶ経つ。
勇気を出してコールするのよ!と祈る気持ちでかけてみた。
「ぶるるるる…ぶるるるる…」
祈るような気持ちで呼び出し音を聞き、待つ。
「がちゃっ」
で、出たのか??一瞬の緊張の沈黙の後…
「ただいま電話に出ることが出来ません」
何度も聞いた、死刑宣告に等しい絶望的なアナウンスだった。
また同じだ。僕はもうあの美少女の声も聞けないのだ。
どんよりと奈落の底まで落ちた瞬間、なんと携帯の着メロが鳴った。
まさか…と思ったらそのまさかで、携帯のディスプレイには
「着信:○○××」と、Rちゃんの名前が出ているではないか。
遂に来た!もう半年以上音信が取れなかった美少女からやっと…
「それは秘密です」の主題曲が頭の中を駆け巡る(若い子は知らん)
震える手でぴっと通話ボタンを押した。
「も、もしもし」
「あ"ー。練馬建設の山田ですけどー(ダミ声)」
…誰、このおっさん。
珠のようなコロコロとしたRちゃんの声は何処へ。
「あの、Rちゃんですか?」
「違います(ダミ声)」
「ですよねえ…」
悲しいが、この現実を受け入れなければならない。
既にRちゃんは電話を解約しており、今はこのおっさんの
番号であることを!
これで完全にRちゃんとの繋がりを失った。
Rちゃんは最早手の届かない伝説になってしまったのであろうか。
虚ろになった僕の目に、待ち受け画面に戻った携帯の
ディスプレイが映った。
Rちゃんの名前をそのまま付けた、娘・R(1才)の画像。
おお、僕にはお前がいたのだ。Rよ。お前がお父ちゃんのために
美少女になってくれー!
しかし悲しいかな、凡庸なツラの僕とこれまた平凡な嫁。
特別に可愛くて、そうはいない美少女Rちゃんに匹敵するかは…。
特別〜じゃない、どこにも〜いるわ
わ〜た〜し〜、幼女R〜。
ともかく十数年後に期待である。長いけど。
じれったーい、じれーったい。
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