夜、家に帰ってくると部屋の中は暗い。
娘・R(5ヶ月)が寝静まった後なので
嫁が明かりを消しているのである。
そんな暗い部屋の中に何か大きな物体の
影がぼうっと浮かび上がっており…。
なんだこりゃー。仏壇か!
いよいよ僕にお迎えが来たのか!
と思ったらひな壇だった。
「セッティングしてみました…」
なんだか疲れ切った嫁が言った。
そういえば嫁一族がRのために買ってくれたのだ。
「でも、何でこんなにでかいんだよ!」
買ってくれるのはありがたいが、
ウチは狭いのでお雛様とお内裏様のツガイだけでいいと
言ったはずなのに。目の前にあるのはどどんと三段飾り。
三段もいらん。お袋の三段腹だけで充分である。
「確かにそう言ったんだけど、見栄っ張りなのよウチ…。
これじゃしまう場所もないしセッティングも大変だったし
どうしろって言うのよー!」
嫁と僕は途方にくれた。
しかも僕は人形が苦手である。暗闇だと

…ものすごい恐いし。
更にでかすぎるために僕らの寝室しか置く場所がない。
非常に寝つきが悪くなりそうである。
それに嫁との夜の契りの時はどうする。
ギャラリーがいるみたいではないか。
いやんばかん見ないでー。
とりあえずはセットしたひな壇三段飾り。
今後どうしようか考えなければなるまい。
ひな壇はひな祭りが終わったらしまわないと娘の婚期が遅れるという。
↓
ひな壇がでかいので、しまう場所がなくていつまでも出しっぱなし。
↓
Rの婚期が遅れる。
それでもいいかな。フフ。
いつまでもお父さんの元にいなさい。
悪魔の三段飾り論法。
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