嫁にクリスマスプレゼントを買おうと思っていたが
10年以上も贈り続けているとネタも無くなるというものである。
「お前、なんか欲しいものある?」
ムードもへったくれもないが、もう考えるのも面倒なので
直接聞いてしまった。そしたら「指輪」と答えが返ってきた。
何で釣った魚にそんな高い餌をあげねばならんのだ。
過去、僕は今まで嫁に3つの指輪を贈っているが
そのうち2つを失くされている。贈り甲斐のない嫁である。
「その、2つ目になくしちゃった指輪がいいの」
嫁は悪びれることなく言う。そーかよそーかよ。
結局、他に贈るネタもないので嫁の希望をを汲むことにした。
ただ、今している3つ目の指輪!
それを失くしたらどうなるか分かってるだろうな!
3度目はないと思え!
だってそれは結婚指輪だからね!
頼みますよまじで!
というわけでクリスマスフィーバーで
ごった返し中の某宝石店へ。
同じデザインのものを見つけ注文し、
とっとと店を出ようとしたら
ネックレスが置かれているディスプレイが目に入った。
嫁の指輪と同じデザインのものである。
『デザインのテーマ:生まれたばかりの生命』
などということが書かれていた。
生まれたばかりといえば、娘・Rではないか。
そういえばRにも初めてのクリスマスプレゼントを
贈ろうと考えていたのである。
このネックレスだったら嫁の指輪とおそろいになるし…
って待て。何を考えているのだ。
赤ちゃんにプラチナ贈るアホがいるかっ。
でも『生まれたての生命』…まさにRのためのフレーズ…
でも値段がン万円…嫁の指輪もン万円…さっき食った牛丼280円…
ああっRの顔が頭に浮かんできた…そんな目で見つめないでくれええ…
様々なものが頭の中を駆け巡った結果、
「プレゼント用の包装でよろしいですか?」
「お願いします」
…Rを溺愛するあまり買ってしまった。
長女は父親にとって最大の恋人である、とは聞いていたが
僕にとっては魔性の女である。ホント、女って恐いなあ…。
女の恐ろしさを改めて知ったクリスマス。
しかし、ただあげるだけではない。
結婚指輪をするのは「売却済み」ということを
周囲に分からせる意味があるのと同様、
Rへのネックレスには「僕が首にくくりつけて離しませんよ」
という思惑を込めて贈るのである。
嫁になんか行かせるものかわはははは。
…食いちぎられたりして。
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