出産翌日。産後の入院生活に入った嫁は元気だった。
嫁は元から泣き虫なので産まれたら
ガンガン泣くに違いない、などと思っていたのだが
わりとケロッとしていて意外だった。
「感激が多すぎで逆に涙も出なかった」
とのことで、感情が一回りしてフラットに
戻ってしまったらしい。そして僕は恨まれた。
「アナタだけRちゃん抱いて写真撮ってもらってずるい!」
「いいじゃんかよ!僕なんかそれ以来抱けないんだぞ!
お前は授乳プレイ時間に抱けるじゃないか!
乳を思う存分貪らせてるじゃないか!」
「プレイじゃないよ!本番なのよー!」
現在我が娘Rちゃんは「新生児室」という
無菌室(だと思う)に入れられていて
その姿を外からガラス越しにしか見ることが出来ない。
しかし母親たちは1日数回、新生児室に入り授乳をする。
その時に会えるし抱くこともできるのだ。
「でも、授乳の時ね、ワタシ、恥ずかしくて」
嫁が顔を赤らめて言った。
「ナゼ?お母さん同士、恥ずかしいことないだろうが」
「だってみんな胸大きいの…ワタシだけ小さすぎるの…」
「ふごぉっ」
僕はイスからひっくり返りそうになった。
「Rちゃんはね、母乳を吸うことは凄い早く覚えたの。
でも、私の胸がないから掴まれなくて…そのせいで
うまくできないの…」
まだ下のほうの毛が生えてない中学生が
修学旅行で風呂に入る時の心境のよう。
僕も暗ぁくなってしまった。…なんて不憫な嫁と娘。
しかし、それでもRちゃんは嫁の貧相な乳を必死に探して
吸おうとするのだそうだ。
逞しい。どんどん成長して欲しい。
乳をたずねて三千グラム。
アリガトウゴザイマシタ。
今日もアリガトウゴザイマシタ。